中国で空前の「国潮」ブーム到来!若者が熱狂する国産ブランド再評価の裏側と「賢い消費」の正体

かつて中国の消費市場では「海外ブランドこそが至高」という価値観が根強く、自国製品は安かろう悪かろうと敬遠される時代が長く続いてきました。しかし2019年12月11日現在、その勢力図に劇的な変化が起きています。中国の伝統的な老舗ブランドが、現代的な感性を取り入れて鮮やかに復活を遂げる「国潮(グオチャオ)」というムーブメントが、全土を席巻しているのです。SNS上でも「レトロで可愛い」「コスパが神がかっている」といった好意的な投稿が相次ぎ、若者たちのトレンドは今や完全に国産へとシフトしています。

特に象徴的なのが、1959年に誕生した国民的ミルクキャンディブランド「大白兔(ホワイトラビット)」の躍進です。彼らは単なるお菓子メーカーの枠を飛び越え、リップクリームや香水、さらにはアパレル展開まで行うライフスタイルブランドへと変貌を遂げました。上海の店舗に足を運ぶ24歳の女性会社員は、幼少期から慣れ親しんだ安心感と、古さを一切感じさせない洗練されたデザインの融合に魅了され、ついつい買いすぎてしまうと笑顔で語ります。こうした伝統の再定義が、新しい時代のスタンダードになりつつあるのでしょう。

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世界が認めたデザインと圧倒的なコストパフォーマンス

この再評価の波は、ファッションや美容の分野でも顕著に現れています。1963年創業のスニーカーブランド「飛躍(Feiyue)」は、かつては「ダサい靴」の代名詞とされていましたが、ミニマルなデザインが欧米のファッショニスタに注目されたことをきっかけに、逆輸入の形で中国国内でのステータスを劇的に向上させました。ナイキやアディダスといった強力な海外勢がひしめく中で、あえて国産を選ぶことが「自分らしい賢い選択」であるという空気が、今の中国には確実に存在しているといえるでしょう。

また、化粧品市場では1931年設立の「百雀羚(ピーチャンリン)」が驚異的な快進撃を見せています。漢方を配合した品質の高さに加え、中国の伝統美を意識した優雅なパッケージデザインが、美意識の高い層から絶大な支持を得ているのです。2019年11月の「独身の日」セールでは、アリババなどのECサイトを通じて、日本円にして約120億円を超える驚愕の売り上げを記録しました。海外の高級ブランドの半額程度で手に入る圧倒的な価格競争力は、消費者の財布の紐を緩める決定打となっています。

デジタルネイティブ世代が牽引する「賢い消費」の時代

興味深いことに、この国産ブランドへの回帰を牽引しているのは、1980年代から2000年代に生まれた「ミレニアル世代」と呼ばれる若者たちです。百度(バイドゥ)の調査によれば、2009年には6割以上が海外ブランドを検索していましたが、2019年には国産ブランドへの関心が70%にまで逆転しました。40代以上の世代では国産への関心が1割に満たないのに対し、20代では約7割が興味を示すという対照的な結果が出ています。彼らはブランドの名前よりも、本質的な価値を見極める力を持っているようです。

背景には、中国製品の技術力が飛躍的に向上したことに加え、米中対立などの影響による景気の不透明感が挙げられます。2019年1月から9月にかけての可処分所得の伸びが鈍化したことで、消費者の意識はかつての「爆買い」から、質と価格のバランスをシビアに見定める「賢い消費」へと移行しました。外食産業でも、スターバックスを猛追する「瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)」が登場するなど、もはや「品質は海外、安さは国産」という固定観念は崩れ去り、あらゆる分野で国産ブランドが主役に躍り出ています。

編集者の視点から見れば、この「国潮」は単なる一過性の流行ではなく、中国の消費者が自国の文化と実力に真の自信を持ち始めた証だと感じます。これまでは海外勢の後を追う立場でしたが、今や独自のストーリーとスピード感で、全く新しい価値基準を作り上げています。日本企業にとっても、これまでの「ブランド神話」に甘んじることなく、この貪欲な国産ブランドたちとどう対峙していくかが、今後の中国市場での生存戦略において最大の鍵となることは間違いありません。

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