ニューヨークの金融街、ウォール街から届いた最新の市場動向をお伝えします。2019年11月06日の米株式市場は、連日の快進撃にブレーキがかかる形となりました。ダウ工業株30種平均の終値は、前日比でわずか7セント安となる2万7492ドル56セントを記録しています。わずかな下落ではありますが、これにより3日連続の史上最高値更新という華々しい記録は一旦途切れることになりました。
この状況にトランプ大統領は、2019年11月06日の朝、自らの政策手腕を誇示するかのように「私が大統領でラッキーだったな!」とSNSで意気揚々と発信しました。大統領の言葉通り、取引開始直後には前日の最高値を塗り替える勢いを見せたのです。しかし、米中首脳会談が2019年12月まで持ち越される可能性が報じられると、市場には動揺が走り、株価は一時84ドル安まで押し下げられる場面も見受けられました。
SNS上では、このトランプ大統領の強気な投稿に対して「また自画自賛か」といった冷ややかな声がある一方で、「大統領選を見据えた株価対策には期待したい」という投資家たちの本音が入り混じっています。実体経済と政治的なパフォーマンスが複雑に絡み合う中で、現在の株価水準が本当に健全なものなのか、多くの人が疑念を抱き始めているのが現状でしょう。
期待先行の相場に潜む「業績乖離」というバブルの影
これまでの株高を牽引してきたのは、米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和の継続や、2020年の大統領選を控えたトランプ政権による景気刺激策への過度な期待感でした。しかし、足元の企業業績を冷静に分析すると、株価の動きとは対照的な厳しい現実が浮かび上がってきます。リフィニティブの調査によれば、2019年07月から09月期の主要企業の純利益は、前年同期比で0.7%のマイナス成長に転じているのです。
特に象徴的なのが、建機大手キャタピラーの事例です。中国市場での苦戦により、2019年07月から09月期の利益は8%も減少しましたが、株価は決算発表が行われた2019年10月23日から2019年11月06日までに約9%も上昇しています。このように「業績が悪化しているのに株価が上がる」という現象は、投資家が企業の稼ぐ力ではなく、将来の政策的なバックアップに盲目的に賭けている証左と言えるかもしれません。
専門家が指摘する「業績と株価の乖離(かいり)」とは、企業が実際に上げている利益に対して、期待感だけで株価が不自然に高く評価されている状態を指します。ミラー・タバックのマシュー・マリー氏は、この現状を1990年代後半の「ドットコムバブル」に重ねて警告を鳴らしています。当時はインターネット企業の成長性への期待が暴走し、最後にはバブルが弾けて市場が崩壊しましたが、現在のS&P500種株価指数の上昇率と利益の伸びの差は、まさにあの悪夢を彷彿とさせます。
編集者としての私見を述べれば、現在の相場は「ドーピングによる無理な疾走」に近い危うさを感じます。本来、株価は企業の通知表であるはずですが、現在は「PER(株価収益率)」という、利益に対して株価が何倍まで買われているかを示す指標も18倍を超えてきました。これはトランプ政権発足後の平均値を上回る過熱ぶりです。FRBが行った3回目の「予防的利下げ」も、かつてのバブルの引き金となった歴史があるだけに、今は利益確定のタイミングを慎重に見極めるべき局面ではないでしょうか。
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