日本のものづくりを支える重要な素材である「伸銅品(しんどうひん)」の生産現場から、少し気がかりなデータが飛び込んできました。日本伸銅協会が2019年12月7日に発表した速報値によれば、同年10月の生産量は6万3346トンにとどまり、前年の同じ時期と比べて13.5%もの大幅な減少を記録したのです。
そもそも伸銅品とは、銅に亜鉛などを混ぜた合金を加工し、板や棒、管などの形状にした製品の総称を指します。電気を通しやすく熱にも強いため、スマートフォンや自動車のコネクタ、精密機器の部品には欠かせない存在です。いわば、ハイテク社会の「縁の下の力持ち」とも言える重要な素材が、今まさに苦境に立たされています。
自動車販売の不振が直撃!11カ月連続のマイナスという厳しい現実
今回の減産に大きく影響しているのは、世界的な自動車販売の停滞に他なりません。特に海外市場での伸び悩みが日本の工場にも影を落としており、これで11カ月連続で前年の実績を割り込む形となりました。2ケタ台の減少率は2019年8月以来のことであり、製造業界全体に漂う閉塞感を象徴するような結果と言えるでしょう。
品目別に見ても、状況の厳しさは一目瞭然です。電気部品に多用される「銅条(どうじょう)」は前年比13.4%減の2万1261トン。さらに、5円玉の原料としても知られ、切削加工性に優れた「黄銅条(おうどうじょう)」にいたっては、25.8%減の7705トンと非常に激しい落ち込みを見せています。
SNS上では、このニュースに対して「製造業の景気後退が目に見える形になってきた」「車が売れないとこれほどまで多方面に波及するのか」といった、将来を不安視する声が相次いでいます。現場のエンジニアや関係者からは、需要の回復を待ち望む切実なコメントも散見されており、サプライチェーンの末端まで緊張が走っている様子が伺えます。
編集部としては、この数字を単なる一時的な不況と捉えるべきではないと考えています。現在は次世代通信規格の普及や電気自動車への移行期にあり、産業構造そのものが激変している最中です。数字上の減少に一喜一憂せず、高付加価値な製品開発へと舵を切れるかどうかが、今後の日本メーカーの命運を分ける鍵となるはずです。
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