水都大阪の象徴として知られ、堂島川と土佐堀川に抱かれた中之島西部。2019年12月17日現在、このエリアでは2つの学校跡地を巡って対照的な景色が広がっています。大阪大学医学部跡地を擁する「4丁目」が先端医療の拠点として活気づく一方で、市立扇町高校跡地がある「5丁目」は、広大な空き地が残されたまま静まり返っているのです。
かつて「陸の孤島」と揶揄されたこの地区は、2008年の京阪中之島線開通により利便性が向上したはずでした。しかし、直後に起きたリーマン・ショックの影響で計画は停滞し、鉄道の利用客も伸び悩むという負の連鎖に陥っています。SNS上でも「中之島線は空いていて快適だが、目的地が少ない」といった、開発の遅れを指摘する声が散見されるのが現状でしょう。
4丁目に誕生する「未来医療国際拠点」の衝撃
なにわ筋の東側に位置する4丁目では、2023年度の開業を目指す「未来医療国際拠点」のプロジェクトが熱を帯びています。ここでは、失われた臓器や組織の機能を回復させる「再生医療」を軸とした、世界最先端の研究が行われる予定です。大阪市が巨額を投じて確保した阪大跡地を、日本生命保険などの企業連合に70年という異例の長期貸付を行うことが決まりました。
この拠点の中心となる「未来医療推進機構」には、ロート製薬などの大手企業だけでなく、大学発のスタートアップ企業も続々と参画しています。さらに、高度な治験(新薬や新治療法の承認を得るための臨床試験)を行うために、桜橋渡辺病院が全面移転してくることも決定しました。単なるオフィスビル建設ではなく、命を救うための「知の集積地」へと変貌を遂げる姿には、目を見張るものがあります。
5丁目が抱える課題と停滞の理由
一方、なにわ筋の西側に広がる5丁目は、2000年の国際会議場オープン以来、時計の針が止まったかのような状態です。再開発の鍵を握るリーガロイヤルホテル大阪の建て替えについて、同社の経営陣は巨額のコストを懸念し、慎重な姿勢を崩していません。この停滞感に対し、ネット上では「大阪の玄関口としてもっと攻めた開発をしてほしい」と、焦り混じりの期待も寄せられています。
現状、5丁目の開発計画は小中一貫校の運動場整備などを除けば、多くが白紙のままです。しかし、2031年には地下鉄道「なにわ筋線」の新駅が開業する予定となっており、ここが最後の反撃のチャンスになるでしょう。私は、この5丁目の広大な空地こそが、大阪が世界的なMICE(展示会や国際会議)都市として飛躍するための、最強の「伸び代」であると考えています。
4丁目の医療拠点と、5丁目の将来的なビジネス・文化機能が融合したとき、中之島西部は本当の意味で「水都の心臓」として鼓動を始めるはずです。美術館や科学館が集まる文化的な土壌を活かしつつ、新駅誕生までの10年余りで、いかに魅力的なマスタープランを描き切れるかが問われています。今後の大阪市の舵取りと、民間企業の英断から目が離せません。
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