消費税10%でも「1本10円」!?大牟田の老舗「やきとり元禄」が守り抜く驚愕のコスパと亡き父との約束

2019年10月1日から消費税率が10%へと引き上げられ、私たちの財布の紐もついつい固くなりがちな今日この頃ですね。そんな増税ムードを吹き飛ばすような、驚きの価格設定を貫く名店が福岡県大牟田市に存在します。その名も「やきとり元禄」。なんと、こちらでは令和の時代においても焼き鳥が「1本10円」という、目を疑うような安さで提供されているのです。

午後4時の開店とともに、店内には甘辛いタレの香ばしい匂いが立ち込め、仕事終わりの人々を優しく迎え入れます。SNSでも「このご時世にありえない」「神コスパすぎる」と大きな話題を呼んでおり、連日多くのファンで賑わいを見せています。今回は、2019年12月11日現在も昭和の価格を守り続ける、若き3代目店主の熱い想いに迫ります。

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炭都・大牟田と共に歩んだ70年の歴史と「10円」のルーツ

同店の歴史は古く、1950年に初代の吉岡鑑正さんが創業した大牟田市で最も歴史ある焼き鳥店です。かつて三井三池炭鉱の拠点として栄えたこの街で、肉体労働に励む鉱員たちが「お腹いっぱい飲めるように」と、当初は1本5円でスタートしました。1980年代に10円となってからは、度重なる増税の荒波にも負けず、約35年間もその値段を据え置いています。

現在は24歳の若き店主、吉岡凌さんが3代目として七輪の前に立ち、母親の日登美さんと二人三脚で暖簾を守っています。炭火と練炭を使い、1本ずつ丁寧に焼き上げるスタイルは創業当時から変わりません。手間暇を考えれば、10円という価格がいかに驚異的であるかが分かりますが、そこには「価格は上げるな」という2代目店主である父・正二さんの遺言がありました。

病床の父と交わした約束、受け継がれる秘伝のタレ

凌さんが店を継ぐまでには、涙なしでは語れないドラマがありました。2015年8月に父・正二さんが末期がんの宣告を受けた際、一度は店を畳む決断を迫られたそうです。しかし、常連客の憩いの場を奪いたくないという凌さんの必死の説得が父の心を動かしました。正二さんは亡くなる直前まで病魔と闘いながら店に立ち続け、凌さんに門外不出のタレ作りを伝授したのです。

2016年4月、父は「焼き鳥の値段は上げるな」という言葉を最期に残し、この世を去りました。この重い約束を胸に、凌さんは2019年10月の増税時も迷わず価格据え置きを決定したのです。薄利多売、つまり一利益は少なくても大量に販売して利益を出すという経営スタイルは、並大抵の努力では維持できません。父の遺志を尊重し、伝統を守り抜く姿には胸が熱くなりますね。

伝統を守りつつ進化する、新しい「元禄」の形

老舗としての伝統を大切にする一方で、凌さんは新しい風も吹き込んでいます。最近ではハイボールなどのドリンクメニューを充実させ、これまで少なかった若者や女性客の心も掴み始めています。かつての「労働者の店」から、全世代に愛される「街の宝物」へと進化を遂げているようです。2020年には創業70周年という大きな節目を迎えますが、店主の眼差しはさらにその先を見据えています。

「100周年まで頑張りたい。その時もきっと10円です」と笑顔で語る凌さんの言葉には、サービス精神を超えた職人の誇りが宿っています。デフレや増税といった経済用語だけでは語れない、人と人の繋がりがここにはあります。1本10円の焼き鳥が運んでくるのは、単なる安さではなく、店主の深い愛情と大牟田の歴史そのものなのかもしれません。

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