静岡県浜松市に拠点を置く自動車部品メーカーの国本工業が、製造業の常識を覆す大胆な挑戦を続けています。代表取締役を務める国本幸孝社長は、製品が作られるあらゆるプロセスにおいて、徹底した省エネルギーや省資源、そして製品の軽量化を追求していくと力強く宣言しました。
同社が誇る最大の武器は、極めて高度な「プレス加工」の技術力にあります。プレス加工とは、金属の板や管に強力な力を加えることで、金型に合わせて一瞬で成形する高度な技術のことです。この独自の技術を応用し、金属パイプを巧みに曲げたりへこませたりしながら、複雑な形状のパーツを次々と生み出しています。
一般的な自動車部品の製造現場では、溶かした金属を型に流し込む「鋳造(ちゅうぞう)」や、刃物で金属を削り出す「切削(せっ削)」、さらに複数の部品を繋ぎ合わせる「溶接」といった多くの工程が必要です。しかし、同社はこれらを一切行わずに成形するため、製造にかかる時間やエネルギーを劇的に削減することに成功しました。
国本工業の飽くなき効率化への情熱は、部品の仕上げ段階にまで及んでいます。従来は油汚れを落とすために環境負荷の高い化学薬品である「有機溶剤」が使われていましたが、同社はなんとこれを「水」へと大胆にシフトさせました。高い温度と強力な圧力を加えることで、薬品と同等の高い洗浄力を実現しています。
インターネット上でも「水を使った洗浄技術は環境にも働く人にも優しくて素晴らしい」「日本の町工場の技術力にはいつも驚かされる」といった称賛の声が相次いでおり、持続可能なものづくりに対する関心の高さがうかがえました。環境への配慮と高い技術力の両立は、これからの時代に不可欠な要素と言えるでしょう。
国本社長は、品質(Quality)、価格(Cost)、納期(Delivery)の頭文字を取った製造業の基本指標である「QCD」の徹底は当たり前のことだと語ります。その上で、厳しい市場を生き抜くために今後も技術の研鑽に励むと、2020年01月17日の取材において熱い意気込みを見せてくれました。
筆者は、このような地球環境に配慮したクリーンなイノベーションこそが、これからの日本の製造業を牽引していくと確信しています。ただコストを下げるだけでなく、地球に優しく、かつ圧倒的な効率を叩き出す国本工業の未来に、今後も目が離せません。
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