長野県飯島町に拠点を置く自動車部品メーカー、南信精機製作所が世界市場を見据えた大きな一手に出ました。2019年12月06日、同社はベトナム工場の生産能力を2022年を目処に現在の4倍へと引き上げる計画を発表したのです。投資額は約5億円にのぼり、工場建屋の拡張とともに最新の生産設備を導入する方針を固めました。
このニュースに対し、SNSなどのネット上では「日本の製造業がASEANで存在感を高めるのは心強い」「CASE対応はスピード勝負だ」といった前向きな反応が寄せられています。特に、長野県の地方企業がグローバルな電動化の波を捉え、果敢に設備投資を行う姿勢に注目が集まっています。世界的な部品不足が懸念される中、供給網の強化は大きな意味を持ちます。
急拡大する「CASE」需要とASEANシフトへの対応
背景にあるのは、自動車業界で叫ばれている「CASE」という技術革新です。これは「Connected(つながる)」「Autonomous(自動運転)」「Shared & Services(シェアリング)」「Electric(電動化)」の頭文字を取った専門用語で、次世代モビリティの鍵を握る概念を指します。この変化に伴い、電源ボックスなどの電装部品の需要が爆発的に増えているのです。
南信精機の片桐良晃社長は、取引先である自動車部品メーカーがASEAN地域への生産シフトを加速させている現状を明かしました。現在は受注がキャパシティを超えており、嬉しい悲鳴を上げている状態だといいます。日系メーカーのみならず、中国や韓国の現地メーカーからも問い合わせが相次いでいる点は、同社の技術力が国際的に評価されている証拠でしょう。
今回の増強では、ホーチミン近郊のビンズオン省にある工場を、現在の約2000平方メートルから最大8000平方メートル規模へと大幅に広げます。これにより、月間200万個程度だったコネクターやモーター部品の生産能力は、一気に800万個レベルに到達する見込みです。2014年の稼働開始から数年で、同工場はまさに第二の中核拠点へと脱皮しようとしています。
さらに注目すべきは、単なる規模の拡大に留まらない点にあります。これまでの樹脂加工や組み立てだけでなく、日本国内と同等の「プレス加工」や「金型製造」の機能も持たせる計画です。金型とは製品を形作るための「器」であり、この製造を現地で行えるようになることは、高度なものづくり技術がベトナムに根付くことを意味しています。
私個人の見解としては、この戦略は非常に合理的かつ先見性に富んでいると感じます。製造コストの抑制だけでなく、物流リスクを回避しつつ急成長するアジア市場の心臓部を直接押さえる動きは、地方製造業が生き残るための理想的なモデルケースと言えるでしょう。日本の精緻な技術がベトナムの活力と融合することで、新たな競争力が生まれるに違いありません。
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