長野県飯島町に拠点を置く自動車部品メーカーの南信精機製作所が、次世代自動車市場の急拡大を見据え、大規模な生産能力の増強に乗り出しています。同社は、2018年12月に稼働したばかりの新工場と既存工場の2拠点に対し、合わせて5億円もの巨額投資を実行いたします。この投資の目的は、自動車の電動化を始めとする革新技術に対応した主要部品の生産数量を、なんと2~3割も引き上げることにあるのです。
この早期の増産体制構築は、自動車業界でキーワードとなっている「CASE」という技術トレンドへの迅速な対応を可能にします。「CASE」とは、「Connected(つながる車)」「Autonomous(自動運転)」「Shared & Service(シェアリングとサービス)」「Electric(電動化)」の頭文字を取った略語で、未来の自動車産業の方向性を示す重要な概念です。南信精機製作所は、このCASE技術に対応可能な部品の需要を迅速に取り込み、収益の飛躍的な拡大を目指しているのでしょう。
具体的に増産されるのは、自動車の神経ともいえる組み電線(ワイヤハーネス)に使用されるコネクターです。これは完成車メーカーが部品調達コストを削減するため、車種間で部品を共通化し、大量発注する動きに対応するものです。南信精機は2019年7月には、このコネクターの月間生産数量を2割増の600万個まで高める計画です。また、電気自動車(EV)などで電圧や電流を安定させる役割を持つコンデンサーも重要部品です。特に小型コンデンサーへの引き合いが非常に強まっており、2019年9月には月間生産数量を3割増の1,300万個へと大きく伸ばす予定です。
さらに、熱を効率よく逃がすための部品であるヒートシンクも増産の対象となります。これまで後部ランプ向けに供給されていましたが、新たにウインカー向けの受注を獲得したことから、2019年9月には月間生産数量を3割増の150万個に引き上げます。これらの増産体制を支えるため、新工場には成型機を8台追加し、合計20台体制としました。また、既存工場には金属加工用のプレス機5台に加え、製品の金型を作るための金型加工設備も3台導入する計画です。既存工場は改装を経て、2019年9月からはヒートシンクの生産に特化する専門拠点となる予定です。
南信精機製作所は1960年の設立以来、樹脂と金属を組み合わせた複合部品を得意としてきた企業です。2018年9月期の売上高は43億円でしたが、今回の積極的な設備投資と増産戦略により、2022年9月期には売上高50億円達成を見込んでいます。自動車業界が100年に一度の大変革期にある今、同社がこの流れをチャンスと捉え、果敢な投資で成長を加速させている姿勢は、地方の製造業が取るべき模範的な戦略の一つだと私は感じています。市場のニーズに合わせた迅速な対応こそが、企業の成長の鍵となるでしょう。
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