愛媛県四国中央市に拠点を置く三木特種製紙が、世界の水資源問題を解決に導く大きな一歩を踏み出しました。日本政策投資銀行と伊予銀行が共同で設立した「伊予成長支援ファンド」などから、総額41億円にのぼる大規模な資金調達を実施したことが2020年1月20日に発表されたのです。この資金は、海水淡水化プラントなどで不可欠となる「水処理膜」の土台を支える基材の増産に向け、最新の不織布製造装置を導入するために投入されます。
今回の資金調達において、同ファンドは「劣後ローン」や「優先株」という専門的な手法を採用しました。これは一般的な融資に比べて万が一の際の返済順位が低い特性を持っています。その分だけ金利などの利回りが高めに設定される傾向にありますが、企業側にとっては、経営権に影響する「議決権」が外部に分散して薄まってしまう事態を回避できるという大きなメリットがあるのです。企業の自立性を保ったまま挑戦を後押しする、非常に賢明な選択と言えるでしょう。
この頼もしい支援に加え、地元の伊予銀行などが足並みを揃えて融資を行う「協調融資」も実現し、巨額の投資資金が確保されました。新工場の稼働は2021年夏を予定しており、最先端の不織布製造装置が動き出すことで、生産能力は一気に引き上げられる見通しです。同社はすでに売上高の3割以上を中国や東南アジアを中心とする海外市場で稼ぎ出しており、グローバルな需要を取り込む体制は十分に整っています。
ネット上のSNSでもこのニュースは話題を集めており、「地方の技術力がある企業が世界へ羽ばたく姿は純粋に格好いい」「水不足は地球規模の課題だから、こうしたインフラを支えるものづくりには頑張ってほしい」といった熱い応援の声が多数寄せられていました。地域金融機関が一体となって地元の優良企業を支え、グローバル市場での競争力を高めていくビジネスモデルは、まさに地方創生の理想形だと感じます。
地球規模での人口増加や気候変動に伴い、安全な飲み水を確保する水処理ビジネスは今後さらに重要性が増していくに違いありません。日本の高度な繊維技術が詰まった水処理膜の基材が、アジアをはじめ世界中の渇きを潤す日が今から非常に楽しみです。地方発の素晴らしい技術が、ファンドという強力な追い風を受けて世界を席巻していくストーリーを、これからもメディアとして温かく注目していきたいと思います。
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