マイナス金利時代の救世主?「ハイブリッド債」に注文殺到も、見え隠れする「ババ抜き」の懸念と投資のリスク

低金利が続く今の日本で、投資家の熱い視線を集めている金融商品があります。それが「ハイブリッド債」です。2019年11月30日現在の市場では、普通社債よりも高い利回りを求める投資家の注文が殺到しており、2019年の新規発行額はすでに過去最高を更新しました。SNSや市場関係者の間でも「利回りを確保するための必須アイテム」として大きな話題を呼んでいます。

「ハイブリッド債」とは、債券(借金)としての性質を持ちながら、格付け会社から「株式に近い資本性」を認められる特殊な証券です。企業にとっては、多額の資金を調達しても財務内容が悪化したと見なされにくい利点があります。投資家にとっては、倒産時の返済順位が低い「劣後(れつご)性」というリスクを取る代わりに、高い金利を受け取れる魅力的な選択肢となっているのです。

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加熱する市場と異例の金利縮小

流通市場での人気は凄まじく、2019年6月に発行された武田薬品工業のハイブリッド債などは、国債に対する上乗せ金利が発行時から約0.6%も縮小しました。これは価格が上昇し、需給が極めて逼迫していることを示しています。森ビルや大陽日酸などの銘柄も同様の傾向にあり、投資家の「少しでも高い利回りを」という切実な願いが、相場を力強く押し上げている状況です。

新規発行への需要も旺盛で、2019年12月に発行を控える住友化学や大阪ガスのケースでは、発行予定額に対して数倍の買い注文が入っていると伝えられています。企業側にとっては、株主に支払う配当コストよりも、ハイブリッド債の利払いの方が安く済むため、財務改善の手段として非常に重宝されています。しかし、この「低コスト」での調達は、投資家側から見れば「割高」な条件を飲んでいる裏返しでもあります。

早期償還の先送りに潜む「ババ抜き」のリスク

私自身の見解としては、この活況には一種の「危うさ」が同居していると感じざるを得ません。多くの投資家は、5年や10年といった一定期間が経過した際に企業が借金を返済する「早期償還」を当然の前提として購入しています。しかし、もし数年後に景気が冷え込み、企業の資金繰りが悪化すれば、会社側が償還を先送りする決断を下す可能性もゼロではありません。

2021年以降には、過去に発行された多くの銘柄が最初の償還判断時期を迎えます。その時、もし「返済見送り」という事例が一つでも出れば、市場は一気にパニックに陥り、ハイブリッド債は「利回りの宝庫」から「ババ抜き」のカードへと豹変するでしょう。今の熱狂に流されず、数年先の出口戦略を見据えた冷静な視点が、今こそ投資家に求められているのではないでしょうか。

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