法律や会計のプロフェッショナルとして活躍する弁護士や税理士といった「士業」の世界で、働く人々の環境を大きく変える歴史的な法改正への動きが本格化しています。厚生労働省は、これまで対象外だった士業の個人事業所で働く従業員に対し、厚生年金への加入を義務付ける方針を固めました。対象となる労働者は全国で約5万人にのぼる見通しであり、2020年の通常国会へ改正法案が提出される予定です。スムーズな移行期間を考慮し、2022年10月からの適用を目指して準備が進められています。
現在の日本の年金制度では、法人の事業所であれば一律で厚生年金への加入が必要不可欠となっています。その一方で、個人が経営する事業所については、農林水産業やサービス業など特定の「非適用業種」に指定されている場合、加入義務が免除されてきました。士業の個人事務所もこの例外に含まれており、従業員が5人以上であっても厚生年金の対象から外れていたのが実情です。今回の見直しは、働き方の多様化に合わせて、より多くの労働者に手厚い社会保障を届けるための重要なステップといえます。
約70年ぶりの歴史的転換!なぜ今、士業が対象になるのか
驚くべきことに、国が厚生年金の対象業種を根本から見直すのは約70年ぶりの出来事となります。厚労省の有識者会議からも「専門知識を扱う士業の事務所が、保障の薄い非適用業種のままであるのは疑問だ」と指摘されていました。士業の事務所は、一般的な個人事業に比べて経営基盤が極めて安定しているケースが目立ちます。保険料の労使折半や複雑な事務手続きをこなす能力が十分に備わっていると判断されたことが、今回の法改正を後押しした大きな要因でしょう。
ここで改めて「厚生年金」の仕組みを分かりやすくおさらいしておきましょう。これは会社員や公務員が加入する公的年金であり、国民全員が加入する「国民年金」に上乗せして支給される2階建ての制度です。最大のメリットは、将来受け取れる年金額が大幅に増える点や、万が一の際の障害年金・遺族年金が手厚くなることにあります。さらに、保険料の半分を事業主が負担してくれるため、働く側にとっては実質的な負担を抑えながら将来の安心を確保できる、大変心強いシステムなのです。
SNSで渦巻く期待と不安!メディアが斬る今後の課題
このニュースが報じられると、インターネット上やSNSでも瞬く間に大きな話題となりました。働く従業員側からは「老後の不安が和らぐので本当に嬉しい」「やっと一般企業並みの待遇になる」といった喜びの声が続出しています。しかしその一方で、個人事務所を経営する所長先生たちからは「毎月の法定福利費の負担が一気に増えるのは大打撃だ」「経営が圧迫されて新規採用を躊躇してしまうかもしれない」といった、コスト面への切実な懸念や悲鳴も少なからず上がっています。
私は今回の法改正について、働く側のセーフティネットを強化するという観点から極めて有意義な一歩であると確信しています。優秀な人材を確保するためには、小規模な事務所であっても福利厚生の充実は避けて通れません。ただし、経営者側の負担が急増することで、結果として従業員の基本給が抑制されたり、雇い止めが発生したりしては本末転倒でしょう。国はただ義務付けるだけでなく、激変緩和措置や経営支援など、現場に寄り添った柔軟なサポート体制を整えるべきです。
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