東京・六本木のランドマークとして知られる森美術館にて、2020年01月01日付で大きな人事の動きがありました。同館のキュレーターとして数々の挑戦的な企画を手掛けてきた片岡真実氏が、新たな館長として正式に就任したのです。女性の館長就任は日本の主要な美術館においてまだ少数派であり、このニュースはアート界を大いに沸かせています。
彼女の快進撃は国内だけに留まりません。なんと2020年から2022年までの期間、世界80カ国以上の近現代美術館の専門家たちが集う国際美術館会議(CIMAM)の会長も兼務することになりました。アジア人として初の快挙となるこの重責を前に、片岡氏は「現代美術が示す多様な価値観を、美術館の活動を通じて多くの人々へ届けていきたい」と、確かな熱意を語っています。
SNS上では、この輝かしいニュースに対して「日本の現代アート界に新しい風が吹く」「実力派の女性リーダーが世界を舞台に活躍するのは本当に誇らしい」といった、祝福と期待のコメントが数多く寄せられました。2020年01月08日に都内の日本記者クラブで開催された記者会見でも、彼女の凛とした姿勢は多くのメディアの注目を集めています。
会見の中で片岡氏は、日本国内における女性館長の少なさについても言及しました。台湾や韓国をはじめとするアジア諸国や欧米では、女性が美術館のトップを務めるケースは珍しくありません。こうした世界の潮流を踏まえ、彼女は「日本でも女性の館長が当たり前となる時代を早く手繰り寄せたい」と述べ、自らがそのロールモデルとなる決意を力強く示しました。
ここで注目すべきは、彼女が背負う現代アート(現代美術)というジャンルの重要性です。19世紀末以降の伝統的な形式にとらわれず、今を生きる作家たちが社会問題や人間の内面を批判的かつ多様な視点で描くこの分野は、時に社会へ強い一石を投じます。私たちは彼女のリーダーシップを通じて、アートが持つ真の革新性に触れることができるでしょう。
しかし、現代アートを取り巻く環境は決して平坦ではありません。前年の2019年には、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展を巡り、多くの抗議が殺到して一時中止に追い込まれるという深刻な騒動が起きました。表現の自由を揺るがすこの出来事は、美術界だけでなく日本社会全体に大きな波紋を広げ、現代アートに対する視線は厳しさを増しています。
片岡氏はこの課題に対し、「表現の自由を守る拠点として美術館が存在することは大前提である」と断言しました。SNSの普及によって誰もが発信できる現代社会では、展覧会が炎上や批判に晒されるリスクと常に隣り合わせです。だからこそ彼女は、アーティストと密に連携を取りながら、恐れることなく美術館のあるべき姿を追求していく姿勢を示しています。
ネット上でも「対話を諦めない姿勢に共感する」「炎上を恐れて無難な展示ばかりになるのが一番怖い」といった、彼女の覚悟を支持する声が目立ちました。美術館がただの展示空間ではなく、多様な意見が交わされる「対話のプラットフォーム」として機能するためには、まさに彼女のようなブレない軸を持つリーダーが必要不可欠だと言えます。
1965年に愛知県で生まれた片岡氏は、東京オペラシティアートギャラリーを経て2003年に森美術館へ参画しました。中国のアイ・ウェイウェイ氏や日本の会田誠氏など、エッジの効いた国内外の巨匠たちの個展を成功に導いています。その後も副館長などを歴任し、シドニー・ビエンナーレの芸術監督を務めるなど、その手腕は国際的にも折り紙付きです。
激動の時代を迎えた現代アート界において、彼女がどのような展示を仕掛け、私たちの価値観を揺さぶってくれるのか期待が高まります。批判を恐れずに新しい表現の可能性を模索し続ける森美術館の未来から、今後も目が離せません。アートが持つ多様性の力で、閉塞感のある社会に刺激を与えてくれることを心から願っています。
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