日本のものづくりを支えてきた老舗造船大手の三井E&Sホールディングスから、驚きのニュースが飛び込んできました。同社は2020年2月10日、2020年3月期の連結最終損益における赤字額が、なんと950億円にまで膨らむ見通しだと発表したのです。前年の2019年3月期に記録した695億円の赤字から、さらに傷口を広げる形となりました。従来の見込みよりも70億円も下振れした事態に、市場には大きな激震が走っています。
今回の巨額赤字をもたらした最大の原因は、子会社である三井海洋開発の業績が急激に悪化したことにあります。三井E&Sが50%の株式を保有する同社は、海に眠る油田を掘り起こす「海洋油田開発用船舶」のプロジェクトを展開してきました。しかし、その中の中核的な船舶で予期せぬトラブルが発生してしまったのです。こうした船は一度不具合が起きると、その修繕や遅延に莫大な費用が積み重なってしまうリスクを孕んでいます。
このトラブルが決定打となり、三井海洋開発の2019年12月期の最終損益は182億円の赤字へと転落しました。前年には218億円もの黒字を叩き出していた優等生だっただけに、まさに天国から地獄への急降下と言えるでしょう。SNS上でも「造船業界の厳しさが浮き彫りになった」「一発のトラブルでこれほど吹き飛ぶとは恐ろしい」といった、驚きや今後の日本の造船業を心配する声が数多く寄せられています。
ここで注目すべきは、海洋油田開発ビジネスという領域の「ハイリスク・ハイリターン」な特性です。専門用語として知られる海洋開発とは、水深数千メートルもの深海から石油や天然ガスを採掘する超高度な技術を指します。成功すれば莫大な利益をもたらす夢の市場ですが、気象条件や機械の不具合による想定外の損失リスクと常に隣り合わせなのです。今回はまさに、その負の側面が最悪の形で表面化してしまったと考えられます。
編集部としては、今回の事態を単なる一企業の不調として片付けるべきではないと感じています。日本の重工業が誇る高い技術力が、グローバルな巨大プロジェクトの魔物に呑み込まれてしまった印象を受けるからです。しかし、三井E&Sがこの苦境を脱するためには、損失の原因を徹底的に洗い出し、リスク管理体制を刷新することが不可欠でしょう。祖業である造船のプライドをかけ、ここからの巻き返しに大いに期待したいところです。
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