内閣府が2020年2月10日に発表した2020年1月の「景気ウォッチャー調査」において、甲信越エリアの景況感に明るい兆しが見えてきました。人々の体感的な景気を示す現状判断指数(DI)は40.3を記録し、前月と比べて5.4ポイントも上昇しています。この結果は2カ月ぶりの改善となり、地域経済の底力が証明された形です。SNS上でも「地元の観光地が活気を取り戻してホッとした」といった、安堵の声が数多く投稿されていて注目を集めています。
今回の景気回復を力強く牽引したのは、2019年10月に発生した台風19号による甚大な被害からの復興です。当時は交通インフラの寸断などで観光客が激減し、地域の経済は深刻な打撃を受けました。しかし、関係者の懸命な努力によってインフラの復旧が進み、客足は例年並みの水準まで見事にV字回復を遂げています。好調な企業を中心に忘年会の需要も伸びており、客単価の上昇がビジネスの現場に笑顔をもたらしているようです。
ここで注目したい専門用語が、調査内で言及された「FIT」です。これは「Foreign Independent Tour」の略称で、団体ツアーに参加せず、個人で航空券やホテルを自由に手配して旅をする「海外個人旅行客」を指します。SNSでは新型肺炎の影響を心配する呟きが目立ちますが、現場の遊園地からは、中国の春節(旧正月)期間におけるFITの実績が非常に好調だったという力強い声が届いており、インバウンドの多様化が功を奏したと言えるでしょう。
一方で、すべての業界が手放しで喜べる状況ではないのも事実です。記録的な暖冬の影響により、スノータイヤなどの冬用アイテムを扱う自動車備品販売店からは、来客数が大幅に落ち込んでいるという悲鳴も上がっています。さらに、2〜3カ月先の未来を予測する先行き判断DIは、前月比で0.3ポイント悪化の45.1となりました。これは、拡大の一途をたどる新型肺炎への危機感が、現場の心理に冷や水を浴びせている証拠です。
編集部としては、今回の景気改善を一時的なお祭り騒ぎで終わらせてはならないと強く感じています。台風の爪痕を乗り越えた甲信越の底力には目を見張るものがありますが、暖冬という自然の気まぐれや、新型肺炎の感染拡大という世界規模の試練がすぐ目の前に迫っているからです。今後は、団体客に頼らないFIT層をどれだけリピーターにできるか、そして予期せぬリスクにどう備えるかが、地域ビジネスの命運を握るでしょう。
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