金原瑞人が愛する鴨頭みどりの陶器オブジェ|不気味さと愛らしさが共存する造形美の魅力

翻訳家として第一線で活躍し、数々の名作を世に送り出している金原瑞人さん。そんな彼が大切にしている「こころの玉手箱」の中身を覗いてみると、意外なことに子供時代の苦手意識がその原点にあるようです。2019年07月09日、金原さんは自身の研究室に飾られたお気に入りの品々について、その深い愛着を語ってくれました。

実は小学生の頃、金原さんは図工の授業が苦手で仕方がなかったといいます。指先があまり器用ではなく、思い通りに物を形作ることができなかったというシンプルな理由が、コンプレックスにも似た感情を生んでいたのでしょう。それゆえに、自分にはない「ゼロから形を創造する才能」を持つ表現者に対して、言葉では言い表せないほどの強い羨望を抱いているのです。

そんな金原さんが心を奪われ、研究室の傍らに置いているのが、陶人形作家である鴨頭みどりさんの作品たちです。彼女の手から生み出される鯉や蛙、カメレオンといった生き物たちは、どれも独特の存在感を放っています。SNS上でも「一度見たら忘れられない」「部屋に置くと空気が変わる」と、その中毒性の高い作風が大きな反響を呼んでいるのをご存知でしょうか。

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デフォルメが際立たせる唯一無二の「不気味かわいい」世界観

鴨頭さんの作品を語る上で欠かせないのが、見事なまでのデフォルメ技術です。デフォルメとは、対象の特徴をあえて強調したり、歪めたりすることで、写実的な再現を超えた表現を行う手法を指します。金原さんの手元にある動物たちは、一見すると不気味で少しだけグロテスクな印象を与えるかもしれません。しかし、その歪みのなかに、えも言われぬ「かわいげ」が同居しているのです。

私は、この「不気味さと愛らしさの共存」こそが、芸術における一つの完成形ではないかと考えています。単に綺麗なだけの造形物よりも、少しの違和感があるものの方が、かえって私たちの記憶に深く刻まれるからです。金原さんが研究室という知的な空間にこれらのオブジェを置いているのも、創造力の刺激を受けるためのスパイスのような役割を求めているのかもしれませんね。

不器用さを自認する翻訳家が、対極にある精緻な造形美に惹かれるというエピソードには、人間味あふれる温かみを感じます。2019年07月09日時点の彼の日常には、これらの不思議な生き物たちが静かに寄り添い、創作活動を見守っているのでしょう。優れたアーティストの作品は、持ち主のコンプレックスさえも、豊かな感性へと昇華させてくれる力を持っているようです。

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