2019年07月09日、田畑では稲や大豆、麦が力強く成長する季節を迎えました。日々作物を観察していると、同じ畑の中でも株ごとに背丈が違ったり、一部にだけ病気が発生したりと、個体差があることに気づかされます。しかし、これまでの農業では、こうした細かな違いに一つひとつ対応することは困難でした。全体的な生育状況を見て、畑一面に一律で肥料や農薬を撒くのが一般的な手法だったのです。
ところが、そんな「当たり前」の光景が、最新テクノロジーの力で過去のものになろうとしています。農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が進めるプロジェクトでは、ドローンを活用して広大なジャガイモ畑を定期的に空撮し、その画像を解析する試みが始まっています。これにより、芽吹きから収穫直前までのジャガイモの立体構造を、コンピューター上で時間の経過とともに再現することが可能になったのです。
この技術の凄さは、一株ごとの草丈や地上部の体積といった「生育量」を正確に把握できる点にあります。生育量がわかれば、どの株に肥料が不足しているのかをピンポイントで判断できるでしょう。SNS上でも「これなら無駄な肥料を減らせる」「究極の効率化だ」といった驚きの声が広がっています。作物の成長に合わせて追加で栄養を与える「追肥」という作業が、劇的な進化を遂げようとしているのです。
AIの目とドローンの機動力で実現するピンポイント害虫駆除
最近では、農地を網目状に区切って場所ごとに肥料の量を調整する「可変施肥」という技術が浸透しつつあります。しかし、今後はさらに一歩進んで、個体ごとに最適なケアを行う時代が到来するはずです。この精密な管理技術は、すでに農薬散布の分野で実用化の域に達しています。例えば、IT企業のオプティムが開発したドローンは、特殊なカメラを用いて大豆の葉に潜む害虫を自動で見つけ出します。
ここで活躍するのが、光の波長を細かく捉える「マルチスペクトルカメラ」と人工知能(AI)です。ハスモンヨトウという害虫の幼虫に葉を食べられると、葉の色が徐々に変化していきます。AIはこの色彩パターンの変化を学習しており、人間の目では見落としそうなわずかな予兆から害虫の存在を特定できるのです。まさに、熟練農家の「眼」をテクノロジーが再現し、それを超えようとする試みと言えますね。
ドローンは害虫を検出すると、その場所でホバリングして下降し、狙った葉にだけピンポイントで薬剤を噴射します。これなら、畑全体に大量の農薬を撒く必要はありません。肥料や農薬の量を最小限に抑えることは、食の安全を求める消費者はもちろん、経費や労働時間の削減を目指す農家にとっても大きな恩恵をもたらします。一株ごとに最適な処置を施すこの仕組みは、農業における究極の形ではないでしょうか。
こうしたスマート農業の普及は、日本の農業が抱える高齢化や人手不足という課題に対する、一つの明快な回答になると私は確信しています。ただ便利なだけでなく、環境負荷を減らしながら収穫量を最大化するこのアプローチは、持続可能な未来を築くための鍵となるでしょう。ハイテク機器が田園風景に溶け込み、一株一株が大切に育てられる未来の訪れが、今から非常に楽しみでなりません。
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