九州の地域金融を支える西日本フィナンシャルホールディングス(FH)とふくおかフィナンシャルグループ(FG)の傘下銀行が、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与といった国際的な金融犯罪に対する対策を大幅に強化されます。2019年9月に改定される預金口座の規定では、長期間取引のない「休眠口座」の利用制限を可能とする項目が新たに追加されるとのことです。これにより、金融機関はより厳格な口座管理体制を敷くことになります。
具体的な対策として、新規定では1年以上利用がない口座に対し、銀行側からの問い合わせや、取引内容に関する資料提出の要請があったにもかかわらず、利用者がこれに応じなかったり、虚偽の回答をしたりした場合、引き出しの制限や口座の解約に踏み切る可能性があることが明確に記載されました。銀行は今後1〜3年をかけて、保有する全ての口座について順次確認を進めていく方針です。これは、犯罪組織による口座の悪用を防ぎ、健全な金融取引を守るための極めて重要な一歩だと言えるでしょう。
特に問題視されているのが、特殊詐欺などで得られた不正な資金の受け皿として悪用されるケースです。この対策として、日本国籍を持たない利用者の方の口座については、在留期間を過ぎた時点で一旦取引が制限されます。これは、主に留学生などが帰国する際に銀行口座を売却し、それが犯罪に使用されるという事例が相次いでいる現状を受けた措置です。ただし、引き続き日本で仕事をするなどの理由で本人が申し出を行い、その事実が確認できれば、制限は解除される仕組みです。この規定は普通預金だけでなく、定期預金や外貨預金なども対象となり、3ヶ月間の周知期間を経て2019年9月2日から適用開始となる予定です。
さらに、法人用の新規口座開設についても審査が厳格化されます。2019年6月中旬からは、新規に口座を開設しようとする法人に対し、事業内容の詳細や、その法人を実質的に支配している人物(実質的支配者:会社の事業活動を最終的にコントロールしている個人)に関する公的な本人確認資料など、提出を求める書類が増えることになります。また、取引を行う目的や事業の実態をより正確に把握するため、即日での口座開設サービスは廃止されます。これにより、急ごしらえのペーパーカンパニーなどが不正な目的で口座を開設することを未然に防ぐ狙いがあると考えられます。一方で、個人の生活のための口座開設については、これまで通り即日での手続きが可能となっています。
このような厳格な口座管理への移行は、西日本FHとふくおかFGの動きに続き、九州フィナンシャルグループ(肥後銀行、鹿児島銀行などを傘下に持つ)も同様の措置を講じる予定で、九州地方の地域金融機関の多くが2019年6月中にも規定改定を発表する見通しです。この背景にあるのは、マネーロンダリング対策の国際組織である金融活動作業部会(FATF)による対日審査が2019年秋に控えているためです。FATFの調査団は、各国の対策状況を評価するために、個別の金融機関への実地調査も行います。
もし、日本の対策が不十分であると国際的に認定されてしまった場合、海外の金融機関との円滑な資金のやり取り(国際送金など)に支障をきたす可能性があり、これは日本の経済活動にとって大きなマイナスとなりかねません。そのため、金融庁はガイドラインを策定し、全国銀行協会も預金規定の見直しに関するひな型を示すなど、金融業界全体で対策の強化が急務とされています。金融機関が、犯罪に使われかねない資金の流れを徹底的に監視する体制を整えることは、利用者全体の安全と信頼を守る上で欠かせない責務であると、私は考えます。
口座管理の厳格化の動きは、海外送金にも及んでいます。例えば、鹿児島銀行では2019年6月3日から、出所(資金の源泉)の確認が難しい現金による海外送金を原則として停止しました。また、西日本シティ銀行も2019年6月28日に、一部の店舗を除く61店舗で海外送金の取り扱いを取りやめるなど、九州の地域金融機関は、**マネロン対策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)**といった国際的な金融コンプライアンスの基準を満たすべく、迅速かつ積極的な取り組みを進めていることが分かります。こうした取り組みは、SNS上でも「不正利用が減るなら歓迎」「少し面倒でも安全が第一」といった肯定的な意見が多く見受けられ、利用者にも金融犯罪に対する意識が高まっていることがうかがえます。
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