2019年08月23日現在、世界の株式市場では半導体関連銘柄へ熱烈な視線が注がれています。前日の東京市場では、主要な製造装置メーカーが軒並み値を上げ、市場全体の停滞感を跳ね返すような力強さを見せました。この背景にあるのは、次世代通信規格「5G」の商用化を見据えた先行投資への期待感です。超高速・大容量の通信を実現する5Gは、私たちの生活を劇的に変える可能性を秘めており、そのインフラを支える半導体の需要は今後爆発的に高まると予想されているのです。
実際の市場動向を振り返ると、2019年08月22日の東京株式市場では東京エレクトロンが1%高を記録したほか、SCREENホールディングスは3.3%高という大幅な上昇を見せ、共に年初来高値を更新しました。さらに、通信計測器で5G関連の筆頭格とされるアンリツも一時5%高まで買われる場面があり、投資家の意欲が浮き彫りになっています。日経平均株価が取引後半に弱含みとなる中で、これら特定の銘柄が逆行高を演じた事実は、まさに「半導体独歩高」の様相を呈していると言えるでしょう。
SNS上では、こうした急激な株価上昇に対して「いよいよ5G相場の本番が始まった」と歓喜する声が目立つ一方で、「景気全体が怪しい中で半導体だけが上がり続けるのは不気味だ」と冷静な分析を投稿するユーザーも散見されます。投資家の間では、米国のキーサイト・テクノロジーズが発表した好決算が大きな呼び水となったようです。特に、懸念されていた中国のファーウェイ向け売上高が想定内に留まったことは、米中貿易摩擦の影に怯えていた市場に安堵感という名の栄養剤を注入する形となりました。
5G特需とシリコンサイクルの狭間で揺れる投資判断
専門的な視点で解説すると、半導体業界には「シリコンサイクル」と呼ばれる特有の波が存在します。これは、半導体の需要と供給のバランスによって、およそ3年から4年周期で好況と不況を繰り返す現象を指します。現在は、スマートフォン向けなどの在庫調整が一段落し、まさに暗いトンネルを抜けて回復基調に入る「底入れ」の局面にあると分析されています。米国半導体工業会のデータによれば、2019年04月の販売額を大底として、市場は着実に息を吹き返しつつあるのです。
しかし、バラ色の未来ばかりとは限りません。世界的な景気後退の足音が忍び寄る中で、半導体市場だけが独走を続けるには限界があるでしょう。もし本格的な不況が訪れれば、企業の設備投資意欲は冷え込み、期待されていた5G特需も先送りになるリスクを孕んでいます。現在の株価上昇は、あくまで「来年以降の好景気」を先取りした、やや過熱気味の局地戦であるという側面も否定できません。期待値だけで膨らんだ風船が、現実の経済指標という針によって弾けないか、慎重な見極めが求められます。
編集部としては、今回の盛り上がりは5Gという巨大な技術革新がもたらす「産みの苦しみ」を終えた合図だと捉えています。確かに短期的な調整は避けられないかもしれませんが、自動運転やIoTの普及を考えれば、半導体が「産業のコメ」としての重要性を増していくことは間違いありません。目先の株価の上下に一喜一憂するのではなく、長期的な技術トレンドの変遷に注目することが、変化の激しい現代を生き抜くヒントになるはずです。今後のシリコンサイクルが描く軌跡から、ますます目が離せません。
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