日本の重工業を牽引する三菱重工業が、カナダの航空機大手ボンバルディアが手掛ける小型ジェット旅客機「CRJ」事業の買収に向けた交渉を進めていることが、2019年6月7日までに明らかになりました。この動きは、三菱重工が開発中の国産初のジェット旅客機「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」の事業を本格的に軌道に乗せるための、極めて重要な一手になると見られています。買収額は公表されていませんが、数百億円規模になる模様です。
今回の交渉の主眼は、機体の整備(メンテナンス)や部品供給などを行うサービス部門の獲得にあるようです。ボンバルディアの「CRJ」は、客席数が50席から100席の小型ジェット旅客機、いわゆるリージョナルジェットの市場において、ブラジルのエンブラエルと並んで世界市場を二分する主力機種です。現在、世界で約1,300機が運航されており、100席以下の航空機市場で3~4割のシェアを誇ります。日本の航空会社も同機を運航している実績があるのです。
三菱重工は、この「CRJ」の事業資産、特に米国などに広がる充実した整備拠点と、そこで働く熟練した技術スタッフを自社の陣営に取り込むことを強く望んでいると考えられます。「MRJ」は2008年に開発に着手して以来、度重なる設計変更や納期延期を経ており、その成功には、機体販売後の確実なサポート体制の構築が不可欠です。ボンバルディアが長年にわたり培ってきたノウハウと人材は、「MRJ」の事業展開を大きく加速させる「特効薬」になるでしょう。
この買収交渉のニュースに対して、SNS上では即座に大きな反響が見られました。「MRJのサポート体制が一気に強化される」「CRJ事業を取り込めば、海外での信頼度も上がるはず」といった、国産ジェット機の成功を期待する声が多数上がっています。一方で、「まずはMRJの納入を確実にしてほしい」「巨額の買収が本当にプラスになるのか」といった慎重な意見も散見されます。しかしながら、世界的な航空機メーカーの事業部門を丸ごと引き継ぐという三菱重工の果敢な経営判断は、日本の航空機産業の未来を切り拓く、大きな一歩になるのではないでしょうか。
三菱重工は2019年6月6日、「交渉を進めていることは事実だが、現時点では決定した事実は何もない」とのコメントを発表し、「開示すべき事項が発生した際には速やかに知らせる」としています。この買収が実現すれば、「MRJ」は強力な事業基盤を獲得し、世界のリージョナルジェット市場に本格参入することになります。私は、この買収交渉は「MRJ」の成功を確実にするための非常に戦略的な一手だと評価しています。世界に挑む日本の航空機産業の動向から、今後も目が離せません。
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