2020年春に卒業予定の大学生・大学院生の就職活動は、さらに選考が前倒しされる傾向が一段と明確になったようです。就職情報大手のディスコが2019年6月6日に発表した調査結果によれば、6月1日時点での内定率(内々定を含みます)は71.1%を記録し、これは前年の同じ時期と比べて5.4ポイントも上回る高い水準となりました。
この内定率の急上昇の背景には、IT(情報技術)業界や外資系企業だけでなく、日本の大手企業まで含めた多くの企業が、日本経済団体連合会(経団連)が定める採用選考活動の指針で定められた「選考解禁日」である6月1日よりも、事実上早く選考を開始していた実態があります。企業側には、優秀な人材を他社に先駆けて確実に確保しようという強い意図が見て取れます。ディスコの武井房子上席研究員も、「5月中に事実上の面接を済ませ、6月1日には意思確認だけを行って内定を出した会社が多かった」と分析しており、この動きはもはや止まらない傾向にあると言えるでしょう。
この調査結果を受けて、SNS上では「もう内定率が7割超えか!」「今年も就活の早期化がすごい」といった驚きの声が多く見られました。特に、まだ就職活動を続けている学生からは「本命企業の選考が終わらないと安心できない」「早期の内定はありがたいが、じっくり企業を選びたい」といった複雑な心境を吐露するコメントも目立ち、学生側の戸惑いも垣間見えます。
実際に、内定を獲得した学生のうち、すでに就職先を決定して活動を終了した学生の割合は38%にとどまっています。内定を持ちながらも、まだ就職先を決めかねている学生は5%おり、合わせると43%の学生が「手持ちの内定」を保有している状況です。これは、企業からの内定獲得が容易になった一方で、学生が複数の選択肢から吟味している様子を物語っているのではないでしょうか。
なぜ内定を持っていても活動を続けるのか、その理由として「本命の企業がまだ選考中」と回答した学生が53%と半数を超えている点には注目すべきです。例えば、青山学院大学4年の男子学生は、商社とメーカーから内定をもらいながらも、「第1志望である保険業界の内定」を目指して就職活動を継続していると話しています。学生は内定を「保険」としつつ、真に納得できるキャリアを求めて貪欲に活動を続けているのです。
私の意見では、企業が優秀な学生をいち早く囲い込みたいという気持ちは理解できますが、現在の採用活動の青田買いのような早期化は、学生に十分な企業研究や自己分析の機会を与えているのか、という疑問も感じます。学生の約半数が本命企業を待っている状況は、早期の内定が必ずしも「満足のいく就職」に直結していない可能性を示唆していると言えるでしょう。
一方で、内定をまだ手にしていない学生の状況も気になるところです。「選考中の企業はあるが、内定が出るかわからない」と感じている学生が57%と大半を占めており、「近いうちに内定をもらえる見通しが立っている」と自信を持って答えられたのはわずか14%に留まりました。このことから、選考の早期化は一部の優秀層に内定が集中し、そうでない学生にとっては厳しい状況が続いていることも推察されます。就職活動の格差が生まれてしまわないよう、企業側には引き続き丁寧な採用活動を期待したいものです。
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