通信設備工事を主軸とする協和テクノロジィズ(大阪市)が、今、注目すべき新たな挑戦として、**VR(仮想現実)やAR(拡張現実)**といった先進的な映像技術を活用した販促ツールを、レジャー施設や外食産業といったBtoC分野に積極的に提案しています。これは、従来の企業向け(BtoB)の枠を超え、一般の消費者に「新しい体験」を提供することで集客力を高め、新たな収益源を確立しようとする戦略的な一手だと言えるでしょう。インバウンド需要の増加も追い風となり、より魅力的で体験型のサービスが求められる時代のニーズを的確に捉えているのではないでしょうか。
この革新的な取り組みの具体的な事例として、2019年6月上旬、京都市内の商業施設「パセオ・ダイゴロー」内に「VRスタジオ」がオープンしました。ここでは、ジェットコースターに乗っているようなスリルや、古代の恐竜たちが闊歩する世界を、まるでその場にいるかのように体感できるのです。体験用のゴーグルから流れる映像に連動して動く椅子を設置したブースが5種類用意されており、1種類の体験が500円、5種類セットで2,000円という価格設定で提供されています。約4分という手軽な時間で、非日常的な興奮を味わえる点は、まさにデジタル技術がもたらすエンターテイメントの進化と言えるでしょう。
さらに、同社はAR技術も駆使し、スマートフォン(スマホ)のカメラを特定の場所に向けた際に、まるで現実の風景にフレームが浮かび上がるような遊び心のある仕掛けも導入しています。この技術は、単なるゲーム的な要素にとどまらず、デジタルサイネージ(電子看板)の一種としても活用され始めています。例えば、大阪市内の飲食店では、タブレットでメニューを表示するだけでなく、来店客がスマホのAR専用アプリを使ってメニューを読み取ると、おつまみや一品料理といった「おすすめメニュー」を追加で表示し、お客様の「ついで買い」を誘発する実証実験が進められているのです。
専門的な用語である**VR(仮想現実)**とは、専用のゴーグルなどを通じて、コンピューターが作り出した世界を、あたかも現実であるかのように感じられる技術です。一方、**AR(拡張現実)**は、現実世界にデジタルな映像や情報を重ね合わせ、目の前の景色を拡張する技術を指します。これらの技術を販促に活用することで、ブランド力や知名度がまだ浸透していない中小規模の店舗であっても、来店客に対して視覚的・体験的な訴求力を高め、効果的に集客につなげられる可能性を秘めていると私は考えます。体験価値を重視する現代の消費行動において、この技術は非常に強力なツールとなるでしょう。
協和テクノロジィズはこれまで、ゼネコン(総合建設業者)の訓練や研修向けに、建物の壁面内部の配線を再現したり、河川の氾濫をリアルにシミュレーションしたりと、極めて現実感の高い映像を企業に提供してきました。このBtoBで培った高い技術力とノウハウが、今回のBtoC分野への展開を可能にしていると言えます。同社の2018年9月期の売上高は約180億円で、映像事業は3年前にスタートしたばかりですが、足元で約5億円の売上を計上しています。
このニュースに対し、SNSでは「体験型コンテンツが500円から試せるのは魅力的!」「ARでのメニュー表示は、ついつい注文したくなる仕掛けだ」「地方の商業施設でも導入されれば、集客効果が期待できそう」といった好意的な反響が見られました。体験の「手軽さ」と「楽しさ」が、特に若い層を中心に支持されているようです。また、不動産の販売現場で部屋のVR内見を提案したり、観光地の看板に追加情報をARで表示したりと、レジャーや外食産業以外の幅広い分野への応用提案も積極的に進められており、その汎用性の高さが評価されている様子がうかがえます。
協和テクノロジィズは、来春(2020年春)に日本で次世代通信規格である5Gが始まれば、映像などの大容量データ通信の活用がさらに進むと予測しています。5Gとは、現行の4Gよりも「超高速」「大容量」「超低遅延」「多数同時接続」を可能にする通信技術のことであり、これにより、VRやARの映像コンテンツは、より高精細でタイムラグが少ない、没入感の高いものへと進化するでしょう。同社は、このデジタル技術の波を捉え、映像事業の売上を今後3~4年で現在の2倍にあたる10億円規模に引き上げたいという明確な目標を掲げており、その成長戦略に大いに期待できると言えるでしょう。
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