2019年08月14日現在、日本の百貨店業界は大きな転換点を迎えています。これまで業界の成長を力強く牽引してきた「インバウンド」、つまり日本を訪れる外国人観光客による消費が、ここへ来て一服感を見せ始めました。2018年度の売上調査によれば、主要8都市では増収を確保したものの、その成長スピードは以前に比べて緩やかになっています。
一方で、地方の百貨店を取り巻く環境は一段と厳しさを増しているのが現状です。地方都市における売上は12年連続で減少しており、店舗の閉鎖も止まる気配がありません。大都市が観光客の活気に沸く陰で、地域経済を支えてきた伝統ある店舗が次々と姿を消していく現状は、業界全体が抱える深刻な二極化を浮き彫りにしていると言えるでしょう。
鈍化する免税売上と変化する中国人客の消費スタイル
免税品の販売状況に目を向けると、数字の変化はより顕著に表れています。今回の調査に応じた190店舗のうち、昨年度より免税売上が増加したと答えたのは46.8%に留まりました。一人あたりのお買い物金額を示す「客単価」の伸びも鈍くなっており、かつて世間を賑わせた大量購入、いわゆる「爆買い」の勢いは過去のものになりつつあるようです。
2019年度の展望についても、免税売上が伸びると予測する店舗はわずか20.5%まで落ち込みました。この背景には、為替の変動で日本での買い物の「お得感」が薄れたことや、中国政府が転売目的の買い付けを厳格に規制する「電子商取引法」を施行した影響が挙げられます。外的要因によって消費の波が左右されるリスクが、改めて浮き彫りになりました。
こうした状況を受け、SNS上では「百貨店に行っても以前ほどの混雑を感じなくなった」「モノを買うより美味しいものを食べる体験にお金を使いたい」といった声が多く聞かれます。また、「地方の店舗がなくなるのは不便だけれど、ネットで何でも買える時代だから仕方ない」といった、EC(インターネット通販)の利便性を支持する意見も目立ちます。
編集者の視点として、私は百貨店が「モノを売る場所」から「体験価値を売る場所」へ脱皮すべきだと考えます。インバウンド需要に依存しすぎるモデルは危うく、今後はデジタル技術を活用した利便性の向上や、実店舗でしか味わえない感動の提供が不可欠です。伝統を守りつつも、時代に合わせた大胆な自己変革こそが、生き残りの唯一の道ではないでしょうか。
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