世界を揺るがす米中の貿易摩擦が激化する2019年、中国の通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)の動向に世界中の注目が集まっています。2019年08月23日、同社の徐直軍副会長は広東省深セン市の本社で記者会見を行い、米国による制裁措置がもたらす業績への影響について最新の見通しを明らかにしました。スマートフォン関連事業において、当初の計画よりも売上高が100億ドル、日本円にして約1兆1000億円以上減少する見込みであることを語っています。
この巨額の減収予測に驚きを隠せませんが、実は6月時点での予測と比較すると、状況は少しずつ好転しているようです。以前は2019年から2020年にかけて合計300億ドルの減収になると危惧されていましたが、足元の数字はそこまで深刻な悪化を辿っていません。SNS上では「意外と持ちこたえている」「中国国内の応援買いが凄まじいのでは」といった、ファーウェイの底力を評価する声や驚きのコメントが次々と投稿されており、ネット上でも大きな議論を呼んでいます。
そもそも今回の苦境は、2019年05月に米国が発動した事実上の禁輸措置、つまり「エンティティ・リスト」への登録が発端でした。これにより、米企業からソフトウェアや半導体などの重要な部品を調達することが制限され、海外で販売されるスマホの機能が大幅に制限されるのではないかという懸念が広がったのです。任正非CEOも一時は海外販売が約4割落ち込み、4000万台規模の減産になると示唆していましたが、現状はそこまで悲観的な展開には至っていないと分析されています。
自社開発のAIチップ「Ascend 910」が示す技術的自立への意志
この逆風を跳ね返すかのように、ファーウェイは同日、人工知能(AI)処理に特化した高性能な新型半導体チップ「Ascend 910(アセンド910)」の実用化を堂々と発表しました。AIにおける「学習」とは、コンピューターが大量のデータを読み込み、特定のパターンを見つけ出す作業を指しますが、このチップは従来製品と比較して2倍の学習スピードを誇ります。これほどの演算能力を持つ半導体を独自に生み出した事実は、米国の技術に依存しない姿勢を象徴しているといえるでしょう。
徐副会長は、AI戦略や関連製品の開発については制裁の影響を全く受けていないと自信を覗かせています。この「Ascend 910」は、自社の通信基盤に組み込まれるだけでなく、膨大なデータを処理するデータセンターなどへも出荷される予定です。編集部としては、ハードウェアの供給を絶たれても、自国で最高クラスのチップを開発し抜く執念には、単なる一企業の枠を超えた、国家の威信をかけた戦いのような気迫を感じずにはいられません。
ファーウェイの強さは、海外での落ち込みをカバーするほど熱狂的な中国国内での支持と、圧倒的な研究開発費に裏打ちされた技術力にあるのでしょう。米国の制裁という巨大な壁を前にしても、彼らは次世代の主導権を握るAI分野で攻めの姿勢を崩していません。今後の世界の通信インフラやスマホ市場がどのような勢力図に塗り替えられていくのか、2019年後半の展開からも目が離せない状況が続いていきそうです。
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