【宝ホールディングス株価急落】創薬子会社タカラバイオの「遺伝子治療薬」期待と現実:投資家が注目すべき需給の行方

2019年6月7日の東京株式市場において、焼酎製造の大手企業である宝ホールディングス(宝HLD)の株価が急落し、一時は前日比1%安の1,126円という、およそ9カ月ぶりの安値を記録しました。この株価下落の背景には、宝HLDが約6割を出資している上場子会社で、創薬事業を手掛けるタカラバイオの株価調整が大きく影響しているのです。タカラバイオ株は、春先からの期待先行による急騰を受けて、利益確定売りが集中したことで下落に転じており、親会社である宝HLDにもその波が及んだ形と言えるでしょう。終値は1,132円と、宝HLD株は2日続落で取引を終えています。

タカラバイオは、宝HLDの連結売上高の約1割を占める重要なグループ会社であり、その事業内容はバイオテクノロジーを用いた創薬、すなわち新しい医薬品の研究開発と製造にあります。特に、2019年3月末には同社にとって初めてとなる医薬品の承認申請を厚生労働省に行っていることが、市場の大きな注目を集めるきっかけとなりました。医薬品が国に認可されれば、製造・販売が可能となり、業績の飛躍的な拡大に繋がるとの期待から、株価は先行して上昇を続けていたのです。実際、2019年4月1日には直近高値である2,826円を記録しています。

株価高騰の背景には、「遺伝子治療薬」が世界的に大きな注目を集めているという潮流がありました。遺伝子治療薬とは、病気の原因となる遺伝子の異常を正常な遺伝子で置き換えたり、遺伝子の働きを操作したりすることで病気を根本から治すことを目指す、最先端の医薬品です。タカラバイオは、この遺伝子治療の関連銘柄として、国内外の投資家から熱い視線を集め、買いが集中していました。しかし、株価が急上昇した後は、「割高感」が意識され始め、利益確定売りによって下落基調へと転換しています。

みずほ証券の野村広之進氏は、市場の動きについて「値上がりしていた中小型株を利益確定目的で売る動きが外国人投資家を中心に広がっている」と分析しています。タカラバイオのような創薬関連株は、業績拡大への期待から株価の変動幅が大きい、いわゆる**「ボラティリティーの高い」銘柄**であり、相場全体が大きく崩れる観測が出た際には、特に売られやすい傾向があると言えるでしょう。野村氏によると、過去には英国の欧州連合(EU)離脱に向けた国民投票が実施された際にも、創薬関連株の下げ幅が他の業種よりも大きかったという事例もあったそうです。

しかし、宝HLDの株価について悲観的な見方ばかりではありません。現在の宝HLDの予想PER(株価収益率)は21倍台に留まっており、これは株価が1株当たり純利益の何倍かを示し、一般的にこの数値が低いほど割安と判断される指標です。さらに、宝HLDの主力事業である酒類事業は堅調に推移しており、業績の土台はしっかりしています。国内証券からは、「今回の株価下落は、子会社株の利益確定に端を発した一時的な需給の悪化によるものが大きい」との見解が示されており、今後は買い戻しが入る可能性も十分に考えられるとの声も聞かれています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました