🔥リスク回避と成長期待の融合!IPO株が個人投資家の**「消去法の買い」**の受け皿に〜米中貿易戦争下の株式市場動向〜

世界経済の不透明感が強まる中、個人投資家の資金が新規株式公開(IPO)銘柄へと集中している状況が見受けられます。これは、米中貿易戦争の長期化や、英国の欧州連合(EU)離脱、さらにはイタリアの財政悪化を巡る懸念など、世界的な政治・経済の混迷が背景にあり、既存の株式市場、特に東証一部市場が低調に推移していることが影響しているようです。こうした環境下で、資金の**「退避先」**として、リスクはあっても将来的な成長が期待できるIPO株が選ばれていると考えられます。

直近の市場の動きを見てみましょう。たとえば、令和最初の上場となったソフトウェアの不具合検査サービスを提供するバルテスは、2019年5月30日の東京株式市場で、初日から買い注文が殺到しました。この日、取引開始から買いが優勢となり、気配値は公開価格の約2.3倍である1518円にまで上昇し、上場初日を終えています。また、同日には、4月に東証マザーズ市場へ上場した中古車販売・レンタルのグッドスピードが一時7%高、就活情報サイト運営のハウテレビジョンが一時14%高となるなど、新規上場銘柄の勢いが際立っています。

特に目覚ましいのは、これら銘柄の持続的な上昇です。グッドスピードは4月末の株価と比較して約2.7倍、ハウテレビジョンは54%高と、上場後の伸びが非常に際立っているのです。さらに、IPO銘柄の初値は公開価格を上回るケースが15銘柄連続で見込まれており、2019年に上場した27社のうち、初値が公開価格を下回ったのはわずか1社だけという活況ぶりです。加えて、今年のIPO銘柄のうち3割強が2019年5月30日時点で初値を上回っている状況は、「初値天井」(上場直後の初値が最高値となり、その後株価が下落する現象)が多いとされる市場環境において、極めて異例であるとIPOジャパンの西堀敬氏は指摘しています。

この新規上場銘柄への資金流入は、日経平均株価との対照的な動きからも明らかです。直近1年間に上場した銘柄の値動きを示すIPOインデックス(単純平均)が4月末比で1%上昇しているのに対し、日経平均は6%下落しています。証券ジャパンの大谷正之氏は、「東証一部市場が冴えない中、リスクがあっても成長性が期待できるIPO株に資金を投じる個人投資家が増えている」と分析しています。

しかしながら、この動きを楽観視する声ばかりではありません。松井証券の窪田朋一郎氏は、「金融緩和によって市場に溢れる**『緩和マネー』と景況感悪化の綱引きの中で、積極的に選ばれているというよりも、他の選択肢が少ないための『消去法』**で資金が入っているに過ぎない」との見解を示しています。実際、上場後に株価が大きく下落しているIPO銘柄も存在するため、闇雲に飛びつくのは危険です。

このため、UBSウェルス・マネジメントの青木大樹氏は、「成長性などを手掛かりにした選別投資の動きが強まっている」と警告しています。海外に目を向けても、米国のウーバーテクノロジーズをはじめとする世界のIPO株も勢いを欠いており、2018年に活況を呈した世界のIPO市場も、やや転換期を迎えているとの懸念も聞かれます。こうした国内外の状況を考慮すると、個人投資家によるIPO銘柄への資金流入は、単なる成長期待だけでなく、不安定な市場環境におけるやむを得ない選択としての側面も多分に含んでいると言えるでしょう。

一方で、2019年5月第3週(20日から24日)の投資部門別株式売買動向(東京・名古屋2市場、1部、2部と新興市場の合計)によれば、個人投資家は2週ぶりに買い越しに転じています。ただし、IPOで得た利益を、割安に見える既存銘柄に投じる、いわゆる**「逆張り」の動きはまだ鈍いようです。UBSの青木氏は、「2019年6月に米中貿易戦争の激化懸念で日本株が一段と下落した場合、『押し目買い』**(株価が一時的に下落したタイミングで買いを入れること)に動く個人投資家が増える可能性が高い」と予測しています。今後、世界経済の動向次第で、個人投資家の資金の流れがどのように変化していくのか、注視していく必要があるでしょう。

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