2019年6月13日、世界有数の原油輸送路である中東のホルムズ海峡付近を航行していた日本の海運会社が運航に関わるタンカーが、突如として何者かの激しい攻撃に見舞われるという緊迫した事態が発生しました。この攻撃により、船のエンジンルームから火災が発生し、度重なる襲撃の危険にさらされた船員たちは、自らの命を守るために救命艇での緊急脱出を余儀なくされました。この海路の安全を脅かす許しがたい行為に対し、運航会社の社長からは「なぜ我々の船が狙われたのか」と、強い憤りの声が上がっています。
タンカーを運航する国華産業の堅田豊社長は、この日の夕刻に東京都千代田区の本社で記者会見を開き、その表情をこわばらせながら心境を吐露されました。「船員の生命と船舶の安全を脅かしたことに対する怒りがある」と述べ、今回の攻撃に対する強い怒りを表明されています。会見では現地の最新情報を確認するため、担当者が頻繁に事務所と会見場を行き来するなど、現場の緊迫感が伝わる異例の対応が続きました。同社は、被害の具体的な詳細については「まだ分かっていない」と繰り返しながらも、船の写真などを用いて現況の説明に努められました。
今回攻撃を受けたタンカー2隻のうちの1隻は、国華産業がシンガポールの会社に運航を委託しているパナマ船籍のケミカルタンカーです。全長は約170メートル、総トン数は1万9349トンという規模で、可燃性のあるメタノールを2万5千トン積み込んでいました。メタノールとは、アルコールの一種で化学工業製品の原料などに広く使われる危険物です。このタンカーは2019年6月10日の午前にサウジアラビアのアルジュバイル港を出航し、シンガポールを経由してタイへ向かう予定でした。
最初の攻撃は日本時間の2019年6月13日午前11時45分ごろに発生しました。何者かが発射した砲弾のようなものが、船の左舷後方にあるエンジンルーム付近を直撃し、火災が発生しました。船員たちは船に備え付けられている消火設備を用いて、二酸化炭素(CO2)を噴射し、なんとか火を消し止めました。しかし、約3時間後には再び、今度は船体の左側中央部分に攻撃を受け、船内にとどまることが危険であると判断されました。乗船していたフィリピン人船員21人全員が救命艇を使用して船外へ脱出し、近くを航行していた船に無事救助されています。ただし、船員のうち1名が軽い怪我を負われました。攻撃を受けたタンカーは現在も無人のまま漂流しているとの情報です。
実はこの攻撃を受けた海域では、同年5月にもサウジアラビアなどの船4隻が襲撃を受けており、国土交通省(国交省)は海運関係者に対して、すでに注意を呼びかけていました。同日午後6時すぎに記者会見を開いた国交省の担当者は、「今回が海賊による犯行であるかどうかも含めて、どのような性質の事案なのか分からない」と述べており、事件の背景については不透明な状況です。海賊とは、公海などで船舶を襲撃し、略奪や人質を取るなどの行為を行う犯罪者のことです。今回の事件は海賊によるものではない可能性も示唆されており、国際的な海上輸送の安全に対する懸念が一気に高まっています。
この前代未聞の事態を受けて、海運会社で組織される日本船主協会(東京・千代田)も迅速な対応に追われています。同協会は、加盟する約130社の会員企業に対し、ホルムズ海峡を航行する際の厳重な注意喚起を行いました。協会の担当者は、「日本の関係する船が特に狙われたというよりも、運が悪かったと考えるべきではないか」との見解を示しつつも、「首謀者や攻撃の意図が明確にならない限り、有効な対策を講じるのは難しい」と、不安な心境を覗かせました。多くの関係者が、世界経済に不可欠な海上輸送の生命線である航路の安全が脅かされている現状に、強い危機感を抱いていることでしょう。
SNS上でも、この日本のタンカー攻撃のニュースは大きな反響を呼びました。多くのユーザーが「船員が無事でよかった」と安堵の声を上げると同時に、「中東の海上航路は本当に危険だ」「日本はどのように対応するべきか」といった、国際情勢や安全保障に関わる議論が巻き起こっています。今回の事件は、遠い海域での出来事ではありますが、エネルギー資源の多くを海上輸送に頼る日本にとって、決して看過できない重大な問題です。私も、今回の攻撃が日本の海運業界、ひいては国民生活に与える影響を考えると、強く心を痛めています。海上での安全確保に向けた国際的な連携強化と、今回の事件の全容解明が急務であると強く感じています。
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