2019年6月4日、一般社団法人日本スタートアップ支援協会(大阪府池田市)が、日本のスタートアップ企業を力強く後押しするための画期的なファンドを組成しました。その名も「日本スタートアップ支援1号投資事業有限責任組合」です。このファンドは、単なる資金提供に留まらず、上場企業の現役経営者20名以上が「エンジェル」として参画し、起業家を直接指導するという、これまでのベンチャーキャピタル(VC)ファンドとは一線を画すスタイルが最大の特長となっています。
このファンドは、ベンチャーキャピタルのフューチャーベンチャーキャピタル(京都市)と共同で運営され、2019年6月より本格的な投資活動を開始する予定です。すでに上場企業の経営者などから約5億円もの資金を集めており、今後は金融機関や事業会社からの出資も募りながら、最終的には10億円規模への拡大を目指しているとのこと。この熱量の高さは、日本のスタートアップ界隈に新たな風を吹き込むことでしょう。
この取り組みの核となるのは、「起業家が起業家を育てる」というコンセプトです。新規株式公開、通称「IPO」(アイピーオー:Initial Public Offeringの略で、未上場企業が初めて自社の株を証券取引所に上場し、一般の投資家に売り出すこと)という難関を経験し、成功を収めた複数の新興企業経営者が、このファンドに出資しています。具体的には、東証1部上場のエボラブルアジア(現エアトリ)の吉村英毅社長や、じげんの平尾丈社長といった、成功の軌跡を知る先輩経営者たちです。スタートアップ各社は、彼らから直接、事業成長のための貴重なアドバイスを受けることができるのですから、これほど心強いことはありません。
日本のスタートアップ界が抱える課題を解決へ
日本スタートアップ支援協会の岡隆宏代表理事は、日本は米国に比べて、個人でスタートアップに出資する「エンジェル」の数が少ないと指摘しています。エンジェルとは、創業初期の段階にあるベンチャー企業に対し、自己資金を投資し、時には経営支援も行う個人の富裕層投資家のこと。その数が少ないため、スタートアップ企業は知識が不十分なまま投資家と交渉せざるを得ず、「資本政策」に失敗するケースも多いと現状を語っています。資本政策とは、企業が資金調達や株主構成など、資本に関する事項を計画・実行する重要な経営戦略のことですが、これを誤ると、せっかくの事業が立ち行かなくなる可能性もあります。
一方で、エンジェル投資に興味を持つ経営者からも、「どのように投資したらよいか分からない」という相談が協会に寄せられていたと言います。今回のファンド組成は、まさにこの二つの課題を一気に解決する妙手となるでしょう。このファンドを通じて、経験豊富な経営者がエンジェルとして投資する道筋が明確になり、若い起業家は経験者の知恵と資金の両方を得られるわけです。私は、この「知恵と資金の融合」こそが、日本のイノベーションを加速させる鍵だと強く信じています。
同協会は、会員である約100社のスタートアップを中心に、成長が見込まれる投資先を選定し、エンジェル投資家とのマッチングを担う重要な役割を果たしていきます。特に注目すべきは、これまでVCからの投資機会が少なかった地方企業や女性起業家の支援に力を入れていく方針です。これは、画一的ではない、多様な起業家精神を育むという点で、非常に意義深い取り組みだと評価できるでしょう。SNS上でも、「IPO経験者の知見は最強のアドバイス!」「地方の起業家にも光が当たるのは素晴らしい」といった、期待と応援の声が多数寄せられています。
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