2019年6月14日、リニア中央新幹線の建設をめぐる重要な動きがありました。静岡県の川勝平太知事が、難関とされる南アルプストンネルの静岡工区の現場を視察したのです。この工区での本体掘削の可否は、リニア全線開通の鍵を握ると言っても過言ではありません。この視察は、地元住民の切実な懸念と、国家プロジェクトの推進という二つの大きな課題がぶつかり合う、まさにその最前線で行われたと言えるでしょう。
視察後、川勝知事は、トンネル本体の掘削を認める**「ゴーサイン」について、「今はゴーサインが出せる状況ではない」と明言されました。これは、多くの読者やSNSユーザーが注目している、大井川の流量減といった環境への影響に関する懸念が、いまだ払拭されていないことを示唆しています。知事は、JR東海に提出した中間意見書に対し、納得のいく回答が示されてからでなければ、本体工事の着手は認められないとの毅然とした姿勢を改めて示されたのです。
視察では、準備工事が進められている椹島(さわらじま)地区や千石(せんごく)地区を巡り、川勝知事はJR東海の宇野護副社長らに対して熱心に質問を重ねられました。焦点となったのは、工事の安全確保状況はもちろん、南アルプスの生態系への影響**、さらには工事後の地域経済を見据えた観光振興策など、多岐にわたります。特に、生態系とは、特定の地域に生息する生物群集とその周辺環境全体を指す言葉で、リニア工事が貴重な自然環境に与える不可逆的な影響は、県民の大きな関心事となっています。
この知事の姿勢に対し、SNSでは「当然の対応だ」「地元の命の水(大井川)を守ってほしい」といった賛同の声が上がる一方、「国家的な事業を止めるな」「静岡県だけが足を引っ張っている」といった焦燥感や批判の声も見受けられます。私の意見としては、県知事として、環境保全と住民の安全を最優先する姿勢は極めて重要で、適切な手続きと説明責任をJR東海に強く求めることは、リーダーとして当然の責務だと思います。
JR東海の宇野副社長は、「工事の環境配慮の一端を見ていただけたのでは」と話し、現在、準備工事が終盤に差し掛かっている状況を説明されました。その上で、「早く本体工事にも着手していきたい」と、早期の建設開始への期待を述べられています。環境配慮とは、事業を行う上で環境への負荷を減らすための取り組みを指しますが、知事の求める**「納得のいく回答」と、この「環境配慮の一端」に、いまだ隔たりがあることは明らかだと言えるでしょう。
リニア中央新幹線は、東京・品川と名古屋を最短40分で結び、日本の経済活動を大きく変革するインフラプロジェクトです。しかし、その推進にあたっては、静岡県が抱える水資源の保全と環境リスク**という、極めて重い課題を避けて通ることはできません。今後のJR東海による中間意見書への回答と、それに対する静岡県の判断が、プロジェクト全体の行方を大きく左右するでしょう。
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