🌈絶体絶命の危機を乗り越えた大井川鐵道!🚂「きかんしゃトーマス号」と観光戦略で魅了する奇跡の復活劇🌟

静岡県島田市を走る大井川鐵道が、経営危機という苦境を乗り越え、力強い再生の軌道に乗っています。その象徴とも言えるのが、大井川鐵道が誇る蒸気機関車(SL)「きかんしゃトーマス号」です。2019年6月22日、夏期運行の出発式が開催された新金谷駅では、高らかな汽笛と勢いよく立ち上る噴煙に、「トーマスだ!」「わあ、大きい!」と、駅に詰めかけた子どもたちの歓声が響き渡りました。満席のため乗車は叶わなくても、ひと目見ようと柵越しに手を振る家族連れの姿から、その人気の高さが伝わってきます。

大井川鐵道は、テレビの人気キャラクターをモチーフにした「きかんしゃトーマス号」を2014年から運行開始しました。初年度の乗客数は6万人でしたが、今や年間10万人もの人々を呼び込む看板列車へと成長しています。鈴木肇社長によると、2018年度は台風や豪雨の影響でやや利用者数を減らしたものの、運行はほぼ順調に伸びているとのこと。このトーマス号の追い風を受け、全線の利用者数は、最も落ち込んだ2014年度の66万人から着実に回復し、2017年度、2018年度はともに70万人を超えるまでに盛り返しました。

実は大井川鐵道は、2012年3月期から2014年3月期まで3期連続で最終赤字を計上するという、深刻な経営危機に瀕していました。2015年、ホテル会社のエクリプス日高(北海道新ひだか町)がスポンサーとなることで、再建の道を歩み始めます。金融機関による債務免除や、このトーマス号による集客効果が実を結び、ようやく黒字を確保できる状況になったのです。しかし、鈴木社長は現状に満足せず、さらなる攻めの一手を打っています。

その一つが、沿線から外れた静岡市内に、バス・旅行業の子会社である大鉄アドバンスの営業所を2018年6月に開設したことです。「大鉄沿線の活性化だけでは生き残れない。『沿線』の概念を拡大し、静岡県中部全体の観光業の活性化に貢献してこそ、未来が開ける」という鈴木社長の強い決断が背景にあります。この戦略の具体的な成果として、静岡空港やフジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)と連携した日帰りツアーが誕生しました。

このツアーは、早朝に静岡駅を出発し、FDAの航空機による富士山遊覧飛行を楽しんだ後、大井川鐵道の井川線(南アルプスあぷとライン)やSL列車に乗車するという豪華な内容です。大人1人約2万5,000円と決して安価ではありませんが、首都圏や名古屋からの利用客が多く、2019年5月までの月1回のツアーは、ほぼ満席という人気ぶりを示しました。これは、大井川鐵道が単なるローカル鉄道から、静岡県中部の観光ハブへと役割を広げた成功例と言えるでしょう。

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🚂 秘境・井川線が持つ「観光資源」としての無限の可能性

大井川鐵道が今後、「観光資源として魅力が眠っている」と期待を寄せているのが、大井川本線の終点である千頭(せんず)駅から井川駅までの約25キロメートルを結ぶ井川線です。これは「南アルプスあぷとライン」の愛称で知られ、14駅を約1時間50分かけて運行します。この路線の最大の特徴は、国内で唯一、アプト式鉄道を採用している点です。アプト式とは、急勾配を登り降りするために、レールの間に歯形(ラックレール)を敷き、車両の床下にあるギア(歯車)をこれに噛み合わせて走行する方式で、急峻な山岳地帯を安全に運行するために不可欠な仕組みです。ここでいう急勾配とは、90パーミル(90‰)という驚異的な傾斜です。パーミルとは、1,000メートル進む間に何メートル高くなるかを示す単位で、90パーミルは1,000メートルで90メートル上ることを意味します。

人が容易に立ち入ることのできない地形に広がる原生林や、山間の無人駅が織りなす光景は、観光列車にうってつけの「秘境感」を醸し出しています。特に注目を集めているのが、湖面に浮かんでいるかのような幻想的な景色を持つ奥大井湖上駅です。この駅は、2019年5月、外国人らが選定する「クールジャパンアワード」を静岡県内で初めて受賞し、その世界的な魅力が認められました。

さらに、大井川鐵道以外にも、地域全体で人を呼び込むための独創的な取り組みが進められています。例えば、NPO法人クロスメディアしまだ(島田市)が3年前から始めた「無人駅の芸術祭/大井川」もその一つです。毎年3月頃、大井川鐵道の無人駅やその周辺に美術作品を展示するこのイベントは、作家が現地に滞在して地域住民と交流し、そこから得たインスピレーションをもとに作品を制作するという、地域密着型のアートプロジェクトです。

2019年は16組の作家が参加し、粘土細工による山や鉄道の風景、ユニークな彩りの駅舎、使われなくなった茶工場での電飾空間作品などが来場者の目を楽しませました。回を重ねるごとに来場者数は増加し、2019年は約1万人が訪れるなど、沿線の魅力を高める重要な仕掛けとなっています。こうした地域を巻き込んだ連携こそが、大井川鐵道再生の原動力であり、この地域が持つ潜在的な魅力と創造性を世界に発信する鍵となるでしょう。

現在、大井川鐵道は、観光路線としての色彩が濃くなっています。定期利用者は全体の2割、収入ベースでは1割にも満たないという現状です。しかし、朝夕の時間帯には、地元の高校生や会社員の姿が目立ち、地域住民の重要な交通手段としての役割も依然として担っています。観光列車による集客と、地域交通としての使命を両立させ、生き残りを図るための試行錯誤は、これからも続いていくでしょう。経営危機を奇跡的な復活劇へと変えた大井川鐵道の挑戦は、日本中のローカル線にとって、大きな希望の光となるに違いありません。

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