2019年09月10日、中国のEC最大手であるアリババ集団の創業者、馬雲(ジャック・マー)氏が会長職を退任しました。裸一貫から世界的な巨大企業を築き上げた彼の引退は、一つの時代の節目を感じさせます。しかし、彼の背中を追いかけるように、中国では次世代のネット企業が凄まじい勢いで台頭しているのをご存知でしょうか。今や世界を席巻する動画アプリ「TikTok」を運営するバイトダンスや、配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)など、若きリーダーたちが率いる企業が市場を塗り替えています。
特にバイトダンスは、未上場ながら企業価値が1兆円を超える「ユニコーン企業」として、世界最大級の評価を受けています。ユニコーン企業とは、創業10年以内で評価額が10億ドル以上の非上場スタートアップを指す言葉ですが、同社の勢いはもはやその枠に収まりません。SNS上では「ジャック・マーが道を作ったからこそ、今のTikTokがある」といった声も多く、彼が中国の起業家精神に火をつけた功績は計り知れないものがあります。彼らは単なる模倣ではなく、独自の技術で世界に挑んでいるのです。
こうした若き経営者たちが口を揃えて称賛するのは、マー氏が持つ「世界規模の視座」です。滴滴の程維CEOは、マー氏が中国という枠を超えて普遍的な経営哲学を語り、海外でも多くの支持を得たことが、中国企業全体のステータスを押し上げたと分析しています。単に利益を追求するだけでなく、教育や社会貢献についても情熱的に発信する姿は、まさに現代の思想家とも言えるでしょう。彼の存在そのものが、中国の若者たちにとって「世界で戦える」という自信の源泉になったことは間違いありません。
しかし、退任を控えたマー氏は、隣国である日本に対して愛のある「苦言」を呈しました。彼は日本という国を深く尊敬しつつも、現状のビジネス環境には物足りなさを感じているようです。その理由は、日本における若手経営者の層の薄さにあります。バイトダンスの張一鳴氏や滴滴の程氏は、1980年代に生まれた非常に若い世代です。彼らが数兆円規模の企業を牽引する中国に対し、日本では依然としてベテランが中心の経営が続いていることを、マー氏は危惧しているのでしょう。
編集部としての意見ですが、マー氏の指摘は非常に重く受け止めるべきだと感じます。イノベーションは常に既存の枠組みを壊す若さから生まれるものです。中国の爆発的な成長の裏には、失敗を恐れずに突き進む20年前のマー氏のような情熱が、今も次世代に受け継がれているという事実があります。日本でも「失われた30年」を打破するためには、彼らのような若い才能が縦横無尽に活躍できる土壌作りが急務ではないでしょうか。マー氏の退任は、私たち日本にとっても変革の重要性を再認識させる契機となるはずです。
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