国内製紙業界のトップを走る王子ホールディングスが、大きな決断を下しました。2019年10月04日、同社はグループ会社である王子マテリアの名寄工場(北海道名寄市)について、2021年度中にその操業を停止することを明らかにしたのです。この決定は、激変する紙需要の波に対応するための戦略的な拠点集約の一環といえるでしょう。
名寄工場では現在、段ボールの波状の部分である「中芯」と、表面に使用される「ライナー」と呼ばれる段ボール原紙の製造を2台の設備で行っています。今回の計画では、クッション性を生み出す中芯の製造ラインを完全に停止する一方で、ライナーを製造する設備については王子製紙の苫小牧工場へ移設し、2022年04月からの再稼働を目指す方針です。
デジタル化がもたらす需要の逆転現象
この再編の背景には、私たちの生活スタイルの変化が色濃く反映されています。インターネットの普及によって新聞の購読数が減少する一方で、ネット通販の爆発的な普及により、梱包資材である段ボールの需要は右肩上がりで推移しているのです。王子グループは既に、苫小牧工場にある新聞用紙の製造設備を2020年度に段ボール原紙用へと改造する計画を打ち出していました。
ネット上では「名寄の雇用はどうなるのか」「地域経済への影響が心配」といった不安の声が上がる一方で、「時代の流れを考えれば合理的な判断だ」という冷静な意見も見受けられます。工場で働く従業員の方々については、グループ内での配置転換を検討していくとのことで、熟練した技術をいかに次世代の主力拠点へと引き継いでいくかが今後の焦点となるでしょう。
北海道内では、ライバルである日本製紙も2020年に勇払事業所での製紙事業撤退を表明しており、まさに業界全体の転換期が訪れています。個人的には、今回の決断は単なる縮小ではなく、成長分野へリソースを集中させるための「攻めの守り」であると感じます。伝統ある製紙の街、北海道がどのように姿を変えていくのか、その動向から目が離せません。
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