学びの門戸がいよいよ大きく開かれようとしています。文部科学省は2019年09月20日、2020年04月から施行される「高等教育の無償化制度」について、対象となる学校の審査結果を公表しました。全国の国公私立大学・短大のうち、実に97%にのぼる1043校がこの制度の対象として認定され、経済的な理由で進学を諦めていた若者たちにとって、希望の光が差し込む形となりました。
今回の制度は、住民税非課税世帯やそれに準じる世帯の学生を対象に、授業料の減免と返済不要の給付型奨学金をセットで提供する画期的な仕組みです。授業料は最大で年間70万円、生活費を支える奨学金は最大で年間91万円が支給されます。SNS上では「これで進学をあきらめなくて済む」「家計の負担が劇的に減る」といった喜びの声が上がる一方で、対象外となった学校への懸念も広がっています。
厳しい審査をクリアした1043校の顔ぶれ
無償化の対象となるには、単に申請するだけでなく、教育体制や経営状況に関する厳格な基準をクリアしなければなりません。具体的には、実務経験を持つ教員による授業の実施や、外部理事の受け入れ、そして厳正な成績管理などが求められます。これは、単なる「バラマキ」ではなく、教育の質を担保しながら支援を行うという国の方針の表れといえるでしょう。
内訳を見ると、国公立の大学・短大186校と高等専門学校57校はすべてが対象となりました。私立でも、申請した857校すべてが要件を満たしています。不適切な留学生管理が問題となった大学が含まれている点には議論の余地がありますが、文部科学省は「低所得者の教育機会の確保」を最優先事項として掲げており、経営努力が見られる限りは広く門戸を開く姿勢を示しています。
一方で、申請を見送った私立大学・短大も31校存在します。その理由は様々で、独自の充実した奨学金制度を持つ大学や、医学部のように授業料が高額すぎて国の支援額では不十分なケース、さらには経営難から要件を満たせないと判断した学校も含まれます。進学先を検討する際には、その学校が制度の対象かどうかを事前に確認することが非常に重要になります。
専門学校の課題と中所得世帯への影響
大学に比べて課題が浮き彫りになったのが専門学校です。対象となったのは全体の約62%にとどまり、1017校が申請を見送る結果となりました。社会人の学生が多いことや、事務的な準備が整わなかったことが主な理由ですが、専門的なスキルを学ぶ場としての重要性を考えると、今後はより多くの専門学校が対象に含まれるような環境整備が必要だと私は強く感じます。
また、今回の制度導入に伴い、国立大学に通う中所得世帯の一部で、かえって負担が増えてしまうという矛盾も生じています。これは、これまで大学が独自に行っていた減免措置が、新制度の開始に伴って縮小・廃止されるためです。2020年04月のスタートに向けて、こうした「制度の谷間」に落ちてしまう世帯への救済措置や経過措置の動向にも注視しなければなりません。
この壮大なプロジェクトの財源は、2019年10月に予定されている消費税率の引き上げによって賄われます。国民全体の負担によって支えられる制度だからこそ、支援を受ける学生には「学ぶ権利」を噛みしめ、社会に還元する意欲を持ってほしいものです。将来的に進学率が8割まで向上すれば、年間約7600億円の予算が必要となりますが、それは日本の未来への投資として決して高くはないはずです。
コメント