現代人の生活に欠かせないインフラとなったインターネット通販ですが、その勢力図に大きな変化が訪れています。2019年10月16日に発表された「ネットライフ1万人調査」の結果によると、国内ECサイトの利用率で「楽天」と「アマゾンジャパン」がほぼ互角という、まさに激戦状態にあることが明らかになりました。
首位の楽天が64.9%、2位のアマゾンが64.8%と、その差はわずか0.1ポイントしかありません。SNS上では「楽天はポイント還元が魅力」「アマゾンは配送の速さが神」といった声が飛び交い、ユーザーが自身のライフスタイルに合わせて、この2大巨頭を巧みに使い分けている様子がうかがえるでしょう。
しかし、利用者の内訳を詳しく分析してみると、両者の戦略の違いが浮き彫りになります。楽天は40代や60代以上の層で7割を超える圧倒的な支持を得ている一方で、10代後半から20代の若年層では苦戦を強いられているようです。クレジットカードの保有率が影響しているのか、中高年層に依存する構造が鮮明になっています。
一方でアマゾンは、全世代で60%以上の利用率を維持しており、世代を問わない汎用性の高さを見せつけました。これに続く3位のヤフー!ショッピングは、ZOZOの買収などを行うZホールディングス(旧ヤフー)の傘下として、M&A(合併・買収)を武器に上位2社を猛烈に追い上げていく構えです。
物流の壁と「生鮮食品」への厳しい目
配送現場での人手不足が深刻化するなか、消費者が求めるサービスにも変化の兆しが見えています。今回の調査では、約半数の人が「配送時間の指定」を利用しており、自宅で確実に荷物を受け取りたいというニーズの強さが再確認されました。宅配ロッカーや「置き配」などの非対面受け取りも普及し始めています。
「置き配」とは、受取人が不在でも玄関先や指定の場所に荷物を置いてもらう配送形態のことです。再配達の手間を減らす画期的な手法ですが、2019年現在の利用率は17.2%にとどまっており、防犯面などの不安から「やはり直接受け取りたい」と考える消費者が依然として多いことが推察されます。
さらに、EC化が進むなかでも「生鮮食品」のネット購入には高い壁が存在します。利用したくないと回答した人は7割を超えており、その最大の理由は「鮮度を自分の目で確かめたい」という切実な思いです。便利さよりも品質への安心感を優先する消費者の選別の目は、非常に厳しくなっていると言えるでしょう。
筆者の個人的な見解としては、利便性だけで押し切る時代は終わり、これからは「信頼」と「体験」の提供が鍵になると確信しています。生鮮食品の分野でいかに実店舗に近い安心感を演出できるか、あるいは若年層に響く新たな決済手段を提示できるかが、今後のシェア争いの行方を左右する大きなポイントになるはずです。
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