2019年10月18日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均が前日と比べて255ドル安という結果で取引を終えました。この下落の主な要因は、不祥事が報じられたボーイングとジョンソン・エンド・ジョンソンの2銘柄が大幅に売られたことにあります。
この2社だけでダウ平均を合計227ドルも押し下げており、それ以外の銘柄については小幅な動きに留まりました。SNS上では「個別企業のニュースに振り回された一日だった」という声や、今後の景気動向を不安視する投資家の書き込みが目立っています。
FRB高官たちが示唆する追加利下げのシナリオ
2019年10月29日から30日にかけて開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)まで、残すところ2週間を切りました。来週からはFRB高官が公式な発言を自粛する「ブラックアウト期間」に入るため、今週は市場との意思疎通を図る講演が相次いで行われました。
その締めくくりとして登壇したのがクラリダ副議長です。彼は世界的な景気減速や低いインフレ率への懸念を表明した上で、「経済成長を維持するために適切な行動をとる」と強調しました。これはFRBが利下げを検討する際によく用いる、市場への合図のような言葉です。
専門用語の「FOMC」とは、アメリカの金融政策を決定する最高意思決定機関のことです。ここで決まる金利の動きは、私たちの住宅ローンや企業の借入金利にも影響を与えるため、世界中の投資家がその一挙手一投足に注目しているのです。
実際に、金利先物市場のデータから政策を予測する「フェドウオッチ」では、10月の利下げ確率は一時91%という極めて高い水準にまで達しました。シカゴ連銀のエバンズ総裁も追加緩和の必要性を否定しておらず、今月の会合で3回連続となる利下げが決まる可能性は非常に高いでしょう。
予防的利下げの効果と「出口戦略」への課題
景気が本格的に悪化する前にあらかじめ金利を下げる「予防的利下げ」は、これまでのところ確かな手応えを見せています。世界的に厳しい経済指標が出ている状況下でも、アメリカの株価は利下げ前の水準をしっかりとキープしているからです。
一時は景気後退の前兆とされる「逆イールド」現象も発生していましたが、現在は解消されています。逆イールドとは、通常は高いはずの長期金利よりも短期金利の方が高くなってしまう異常な状態で、これが消えたことは市場に安心感を与えました。
過去の事例を振り返ると、1998年の予防的利下げも3回で終了しました。今回も10月で打ち止めになると予想する専門家は多いですが、FRBにとっての難題は「どうやって市場にショックを与えずに利下げを終わらせるか」という点に集約されます。
最近の市場は、以前のように「悪いニュースが出れば利下げ期待で株が上がる」といった歪んだ状態から脱しつつあります。ニュースの内容を素直に消化する健全な環境が整いつつあることは、FRBが緩和策を停止する上で追い風になると私は考えています。
さらに、米中貿易摩擦に緩和の兆しが見えていることも好材料です。トランプ大統領が選挙を意識して穏健派の意見を取り入れ始めたとの報道もあり、外部環境の改善がFRBの決断を後押しするでしょう。
しかし、昨年12月の急落を経験した投資家たちは、依然としてFRBの下支えを強く期待しています。パウエル議長が市場を失望させることなく、いかにして巧みな言葉で利下げ路線の幕引きを演じるのか。彼のコミュニケーション能力が試される、極めて重要な局面を迎えています。
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