日本の国立大学の歴史が、2020年に大きな転換点を迎えます。名古屋大学と岐阜大学の運営法人を一つに統合する「東海国立大学機構」が、2020年04月01日にいよいよ産声を上げることとなりました。この県境を越えた画期的な連携は、18歳人口の急激な減少という厳しい社会情勢を見据えた、生き残りとさらなる飛躍のための戦略的な一手といえるでしょう。
SNS上では、この「アンブレラ方式」による日本初の試みに対し、「地方大学の新たなモデルケースになるのでは」「研究設備が共有されるのは熱い」といった期待の声が上がる一方で、各大学の独自性がどう保たれるのかを注視する意見も散見されます。複数の大学を一元的に経営するこの新形態は、リソースの最適化を図りつつ、世界に通用する研究力と地域貢献を両立させるための、壮大な実験でもあります。
世界屈指の拠点へ!機構が注力する「4つの重点分野」と松尾新機構長の手腕
新法人のトップには、名古屋大学の松尾清一学長が就任することが内定しました。2019年09月下旬の記者会見で松尾氏は、世界トップクラスの研究大学としての地位確立と、地域社会の持続的な発展への寄与を同時に成し遂げたいと力強く語っています。2019年10月21日には文部科学大臣からの指名も受け、2020年04月の初代機構長着任に向けて、現在は具体的な組織運営の詰めが行われている段階です。
特に注目すべきは、機構が直轄して予算と人員を重点投下する4つの研究分野です。ITを駆使して食糧問題解決を目指す「スマート農業」を掲げる農学研究をはじめ、産官学が手を取り合う航空宇宙、膨大なデータを活用した次世代医療モデル、そして新しい治療薬の開発に繋がると期待される「糖鎖(とうさ)研究」がその柱となります。糖鎖とは、細胞の表面でアンテナのような役割を果たす物質で、生命現象の鍵を握る重要な研究対象です。
教育面でも革新的な試みが始まります。キャンパス間の距離を感じさせないよう、ICT(情報通信技術)を駆使した遠隔授業や教材の共同開発が進められる予定です。昨今のデジタルトランスフォーメーションの流れを汲み、特に「数理・データサイエンス」の教育には並々ならぬ力が注がれるでしょう。こうした高度な専門教育を両大学の学生が等しく享受できる仕組みは、将来の日本を支える人材育成において極めて有意義であると確信しています。
編集者としての視点では、この統合は単なる事務効率化に留まらず、知の集積地としての魅力を最大化する好機だと捉えています。名古屋大の高度な研究力と、岐阜大が持つ地域に根ざした実践力が化学反応を起こせば、東海地方から世界を驚かせるイノベーションが次々と生まれるはずです。国立大学の在り方が問われる今、この「東海国立大学機構」の船出が、日本の高等教育に新たな光を照らすことを期待して止みません。
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