金属加工機械の分野で世界をリードするアマダホールディングスが、大きな転換点を迎えようとしています。同社は2019年11月7日、翌年春に向けた抜本的な経営体制の刷新を発表しました。約17年という長きにわたり、強力なリーダーシップでグループを牽引してきた岡本満夫会長兼CEOが退任し、新たな時代へとバトンを繋ぐことになったのです。
2020年4月1日には、現在の持ち株会社体制を見直し、事業会社であるアマダと合併して新生「アマダ」として再スタートを切る予定です。SNS上では、長年トップを務めた岡本氏の退任に対し「一つの時代が終わる」「製造業のカリスマがいなくなるのは寂しいが、次世代の進化に期待したい」といった、功績を称えつつ未来を注視する声が数多く寄せられています。
レーザー加工機の革命と「中興の祖」が築いた盤石な基盤
岡本会長は、2003年の就任以来、バラバラだった販売と製造の組織を統合し、トップダウンで劇的な改革を推し進めてきました。特に注目すべきは「ファイバーレーザー」技術への注力でしょう。これは光ファイバーを増幅媒体としたレーザーで、従来の二酸化炭素レーザーに比べエネルギー効率が極めて高く、圧倒的な省エネと精密な加工を両立させる画期的な技術です。
静岡県にある富士宮事業所をレーザー専用工場へ転換させるなどの大胆な投資により、2018年度のレーザー関連売上高は900億円規模にまで成長しました。これは2011年度と比較して2倍以上の数字であり、連結売上高を就任時の約2倍となる3381億円(2018年度実績)にまで押し上げた原動力です。まさに「中興の祖」と呼ばれるにふさわしい実績と言えるでしょう。
集団指導体制への移行とIoT戦略「V-factory」の加速
2020年4月からの新体制では、磯部任社長がトップに就任し、一人のカリスマに頼らない「集団指導体制」へと舵を切ります。磯部氏は、目まぐるしく変化する現代において、働き方改革や中国メーカーの台頭、そして高度なデジタル化に対応するためには、多様な専門家による意思決定が不可欠であると説いています。個の力から組織の力へと、戦い方を進化させる狙いです。
今後の成長の鍵を握るのは、あらゆるモノがインターネットに繋がる「IoT」を駆使したスマート工場化です。アマダが提唱する「V-factory」は、機械の稼働状況をリアルタイムで可視化し、保守や生産効率を最適化する仕組みです。これからは単に「モノを売る」だけでなく、ソフトウェアやサービスを含めたトータルソリューションを提供することが、同社の新たな生命線となるでしょう。
編集者の視点から言えば、この交代劇は単なる人事刷新ではなく、日本の伝統的な製造業が「デジタル・トランスフォーメーション」へ本格的に適応しようとする決意の表れだと感じます。カリスマが作った強固な土台の上に、柔軟な組織知が加わることで、2021年度に掲げる売上高4000億円という目標も、決して夢物語ではないはずです。新生アマダの快進撃から目が離せません。
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