2019年11月07日、世界の経済を支える鉄鋼業界に大きな動きが見えてきました。主要20カ国・地域、いわゆるG20の国々は、いま深刻な課題となっている鉄鋼の「過剰生産問題」を解決するため、これまでにない新しい国際的な協力体制の構築を検討し始めています。
そもそも過剰生産とは、市場が必要としている量を超えて製品が作られすぎてしまう状態を指します。鉄が市場に溢れかえると、価格が急激に下落してしまい、世界中の鉄鋼メーカーの経営を圧迫するリスクがあるのです。これを防ぐための話し合いの場が求められています。
実はこれまでにも、過剰生産を是正するための「グローバル・フォーラム」という枠組みが存在していました。しかし、この既存の仕組みは2019年12月に設置期限を迎えることになっており、存続を巡る議論では、世界最大の鉄鋼生産国である中国が延長に強く反対しました。
その結果として、残念ながら現在の枠組みは廃止される見通しとなってしまいました。SNS上では「中国の協力が得られないと実効性がないのでは」「日本の鉄鋼メーカーへの影響が心配だ」といった、先行きを不安視する声が数多く上がっており、事態は予断を許しません。
2020年以降の市場安定を目指す新会議体の役割
こうした危機的な状況を放置すれば、鉄鋼市況のさらなる悪化は避けられないでしょう。そこで日米欧の各国は、2020年以降も各国が互いの生産状況を報告し合い、透明性を確保するための新たな会議体を立ち上げる必要があると判断したのです。
新しい枠組みにおける最大の焦点は、やはり中国をいかに巻き込めるかという点に尽きるでしょう。中国が参加しない話し合いでは、世界規模の供給調整を実現することは難しく、国際社会の連携がどこまで強固なものになるかが、今後の成否を分けることになります。
編集者の視点から申し上げますと、鉄鋼は「産業の米」とも呼ばれるほど重要な資材です。特定の国の意向で国際秩序が揺らぐことは、巡り巡って私たちの生活におけるインフラ整備コストや製品価格にも跳ね返ってくるため、非常に重要な局面を迎えていると感じます。
自由で公正な貿易を維持するためには、数字に基づいた誠実な対話が欠かせません。2019年11月07日現在のこの動きが、2020年からの世界経済にポジティブな影響を与えることを期待しつつ、各国の粘り強い交渉の行方を注視していく必要があるでしょう。
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