化学業界の巨人、三菱ケミカルが岡山県倉敷市の岡山事業所において、次世代の「価値創造」に向けた大きな一歩を踏み出しました。同社はエチレンを製造する過程で生まれる副生ガスの有効活用を目指し、新たな研究開発(R&D)設備を建設することを決定したのです。このプロジェクトには、岡山県も「大型投資・拠点化促進補助金」を通じて強力にバックアップすることを表明しており、地域経済の活性化への期待も高まっています。
今回の設備投資にかかる総額は約9億4000万円という大規模なもので、2019年11月23日現在の発表によれば、岡山県はその10%にあたる9000万円を補助する方針です。これまで、ナフサと呼ばれる原油を精製して得られる「粗製ガソリン」を高温で分解し、プラスチックなどの原料となるエチレンを作る際、多くの副生ガスが発生していました。しかし、その多くは事業所内の熱源、つまり燃料として燃やされるに留まっていたのが実情です。
新設される設備では、このガスに含まれる有効成分を抽出し、新たな高付加価値製品の開発や量産化に向けた試作が繰り返される予定です。単なる燃料として消費していた資源を、知恵と技術によって「宝の山」へと変える試みは、資源の少ない日本において極めて意義深い挑戦と言えるでしょう。操業開始は2020年8月を予定しており、この施設稼働に伴って新たに6人の雇用が創出される見込みとなっている点も見逃せません。
地域と企業が手を取り合う「岡山モデル」の先進性
SNS上では「地元の雇用が増えるのは嬉しいニュース」「捨てていたエネルギーから新しいものが生まれるのはワクワクする」といった、期待に満ちた声が広がっています。特に、地方自治体が研究開発に特化した投資を支援する姿勢に対して、産業の高度化を歓迎する好意的な意見が目立ちます。岡山県が2017年度に創設したこの補助金制度は、まさに企業のイノベーションを後押しするための「呼び水」として機能しているのです。
この補助金は、研究開発に特化した設備投資を対象に最大2億5000万円まで支援する仕組みで、今回の三菱ケミカルのケースは2019年度で初の適用事例となりました。編集部としては、単なる工場誘致に留まらず、知的生産の拠点である「R&D施設」を呼び込む県の戦略を高く評価します。研究拠点が根付くことは、その土地に優秀な人材が定着し、長期的な産業競争力を維持するために不可欠な要素だからです。
カーボンニュートラルや資源の最適化が叫ばれる現代において、三菱ケミカルのこの取り組みは、素材メーカーとしての使命感を体現しているように感じられます。副産物を高度に利用する技術が確立されれば、製造コストの低減だけでなく、環境負荷の低減にも大きく寄与するはずです。2020年8月の操業開始以降、この岡山からどのような画期的な新素材が誕生するのか、今から楽しみでなりません。
コメント