私たちの生活から出る段ボール古紙の輸出が、深刻な状況に陥っています。古紙問屋で組織される関東製紙原料直納商工組合は、2019年6月に船積みする予定だった段ボール古紙の輸出を見送ることを決定しました。輸出見送りは2カ月連続という異例の事態です。SNSでは「景気減速の波がリサイクル業界にも来た」「古紙の行き場がなくなっている」と、環境面への影響を心配する声も聞かれます。
輸出見送りの最大の理由は、世界最大の古紙消費国である中国の需要が極めて鈍いことにあります。中国では景気減速に伴い、製品を梱包するために使う段ボールの需要が低迷しており、現地の製紙会社が段ボール原紙の生産を減らしています。このため、日本の古紙に対する「引き合い」、すなわち注文が細り、日本の商社も輸出の見積もりに参加することを避ける状況が生じているのです。
さらに、問題の複雑さを増しているのが、米中貿易戦争の「飛び火」です。中国が昨年(2018年)から米国産の古紙に25%もの「報復関税」を課した結果、行き場を失った安価な米国産古紙が東南アジア市場に大量に流入していると考えられています。これにより、東南アジア向けの輸出においても価格が折り合わず、日本の古紙が国際的な競争で不利な状況に置かれてしまいました。
その結果、日本では段ボール古紙の余剰感が急速に強まっています。関東商組の大久保信隆理事長(当時)が「在庫スペースの能力の上限に達しつつある」と語る通り、国内の古紙問屋の保管場所は限界に近づいている状況です。2018年11月には過去最高値をつけていた価格が半値程度まで落ち込んでもなお捌けず、この古紙の「詰まり」が、国内のリサイクルシステム全体に影響を及ぼすことが懸念されるでしょう。
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