いま、お茶の間の主役である「テレビ」の勢力図が劇的な変貌を遂げています。2019年11月07日現在の市場を読み解くキーワードは、日本メーカーが心血を注ぐ「高付加価値路線」と、驚異的なコストパフォーマンスで攻め寄せる「中国メーカーの躍進」の二極化です。スマホの普及により個室でのテレビ需要が減る中、各社は生き残りをかけてリビング用の大型モデルに勝負の場を移しています。
かつての買い替えサイクルは短かったものの、現在の液晶パネルは非常に堅牢で、平均して8年ほど使い続けるユーザーが増えています。そのため、次に選ぶ一台には「妥協したくない」という心理が働き、ソニーやパナソニックといったブランド力のある国内大手に支持が集まってきました。しかし、2018年頃からその牙城を崩し始めているのが、ハイセンス(Hisense)やTCLといった中国の巨大資本です。
中国勢の最大の武器は、43型の4Kテレビが5万円前後で手に入るという圧倒的な低価格です。彼らは自社でパネル生産や量産を行う能力に長けており、画質面でも「価格を考えれば十分すぎる」水準まで技術を向上させています。特に2019年08月末には世界シェア3位のTCLが日本へ本格参入し、低価格・大型市場のシェアをじわりと奪い取ろうとする緊迫した情勢が続いています。
一方、日本メーカーが反撃の狼煙(のろし)を上げているのが「有機EL」の世界です。有機ELとは、バックライトを必要とせず素子自体が発光するディスプレイで、漆黒の表現や鮮やかな発色が特徴です。2019年モデルは「当たり年」と言われ、各社がパネルの輝度や画質制御を極限まで高めています。東芝映像ソリューションの調査では、大型モデルの約半数がすでに有機ELにシフトしているという驚きのデータも出ています。
SNS上では「格安4Kで十分派」と「映画を観るなら有機EL一択派」で意見が真っ二つに分かれています。「中国製テレビの進化が早くて驚く」という声がある一方で、「やはり日本メーカーの画質処理エンジンによる『色』の深みは捨てがたい」といったこだわり層の熱い投稿も目立ちます。価格か、それとも極上の映像体験か。消費者の価値観がこれほど明確に問われる時代は過去になかったかもしれません。
編集者としての私見ですが、テレビはもはや単なる「放送を受信機」ではなく、リビングの質を決める「体験型インテリア」へと進化したと感じます。1、2年で中国勢に技術が追いつかれることはないでしょうが、日本メーカーには画質だけでなく、ネット動画との親和性などさらなる革新を期待したいところです。2019年11月07日現在のこの絶妙なパワーバランスこそが、私たちに最高の選択肢を与えてくれているのです。
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