南米ボリビアの巨星落つ!モラレス大統領辞任の裏にある「親中政策」の破綻と米中覇権争いの全貌

南米ボリビアで長きにわたり政権を維持してきた反米左派の旗手、エボ・モラレス大統領が2019年11月10日、ついに辞任を表明しました。直接の引き金となったのは大統領選挙における不正疑惑と、それを受けた軍からの退職勧告です。しかし、その背景を深く読み解くと、13年以上に及ぶ長期政権が推進してきた「親中国路線」の行き詰まりが、国民の怒りを爆発させた真の要因であることが浮き彫りになってきます。

モラレス氏は2006年に先住民として初めて大統領の座に就きました。それまで富を独占していた白人層への不満を吸収し、低所得者層に寄り添う再分配政策で圧倒的な支持を集めたのです。その結果、就任当時に38%だった極貧層の割合は15%まで劇的に低下しました。この実績は驚異的であり、彼が国民から「希望の星」と呼ばれた理由もここにあるでしょう。しかし、その輝かしい再分配を維持するための資金源が、大きな罠となって彼を待ち受けていたのです。

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「米国の裏庭」で加速した中国マネーへの依存と誤算

モラレス氏が頼ったのは、米国の影響力が強い南米への進出を狙う中国の巨大な資本でした。彼は天然ガスなどの資源を国有化する一方で、中国からの融資でインフラ整備を加速させました。2018年6月には訪中して習近平国家主席と会談し、巨大経済圏構想「一帯一路(いったいいちろ)」への参加を決定。これは、古代のシルクロードのように陸路と海路で中国と世界を結ぼうとする広域経済圏プロジェクトですが、ボリビアにとっては自立への道ではなく、依存への第一歩となりました。

期待された経済効果は、無情にも裏目に出ることになります。公共事業の多くを中国企業が独占的に受注したため、地元ボリビアの企業に利益が還元されず、国内経済は冷え込んでしまいました。国際通貨基金のデータによれば、2019年の実質経済成長率は3.9%と、2009年以来の低水準にまで沈んでいます。私自身の視点から言わせてもらえば、目先の現金を得るために将来の成長の芽を摘んでしまった、あまりに代償の大きい選択だったと言わざるを得ません。

膨れ上がる債務と深まる国民の不信感

現在、ボリビアの中国に対する債務は約9億5000万ドル(約1040億円)に達しており、これは同国の対外債務の約9%を占める規模です。GDP(国内総生産:国内で生み出された付加価値の合計)が約424億ドルの国にとって、この返済負担は非常に重く、破綻の危機すら囁かれています。SNS上では「潤ったのは大統領周辺の利権層だけで、国民に残されたのは借金の山だ」といった悲痛な声や政権批判が渦巻いており、国民のフラストレーションは限界に達していました。

こうした不満が渦巻く中で起きた「選挙不正疑惑」に対し、米州機構(OAS)が鋭くメスを入れました。OASは南北アメリカ諸国で構成される地域機構で、米国の意向が強く反映される組織です。ボリビア国内では、今回の政変に米国の影を感じ取る人々も少なくありません。米中による「南米を舞台にしたチェスゲーム」において、モラレス氏は一つの駒として動かされていた側面も否定できないでしょう。

隣国アルゼンチンでは2019年10月に親中の左派政権が誕生したばかりであり、南米の政治情勢はまさに激動の渦中にあります。資源大国でありながら「最貧国」からの脱却に苦しむボリビアが、リチウムという戦略資源を武器に再び自立できるのか。今回のモラレス氏の失脚は、単なる一国の政変に留まらず、21世紀の新たな冷戦構造を象徴する出来事として、私たちの記憶に深く刻まれることになるでしょう。

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