「スカパー!」といえば衛星放送のイメージが強いですが、今、その舞台は「視聴者のリビング」から「果てしない宇宙」へと劇的なシフトを遂げています。スカパーJSATは、放送事業の伸び悩みを打破すべく、高収益な宇宙ビジネスを次なる成長の着火剤に据えました。2019年11月27日、同社は建設コンサルタント大手の日本工営との提携を発表し、2020年を目処に衛星データを活用したインフラ監視サービスを開始することを明らかにしました。
この事業の核となるのが「SAR(合成開口レーダー)」という最先端技術です。これは衛星から電波を放ち、その反射を解析することで地上の形を精密に描き出すもの。最大の利点は、厚い雲に覆われた悪天候の日や、真っ暗な夜間でも地上の変化を逃さず観測できる点にあります。SNSでは「スカパーがインフラを守るなんて意外すぎる」「ドローンより広範囲で効率的かも」と、放送局という枠を超えた進化に驚きの声が上がっています。
これまでの道路や空港の点検は、人間が現地に足を運ぶスタイルが主流でした。しかし、この新サービスが始まれば、宇宙から一元的に異常を検知できるようになります。人が立ち入れない危険地帯の監視も可能になり、防災や老朽化対策のあり方を根底から変えるでしょう。私は、既存の放送インフラを「観る」ためだけでなく「守る」ために再定義したこの発想こそ、老舗企業が生き残るための正解だと確信しています。
利益の柱はメディアから宇宙へ!船舶監視や成層圏プラットフォームの野望
数字を見れば、その戦略の合理性は一目瞭然です。2019年3月期の決算では、売上規模こそメディア事業が勝るものの、営業利益では宇宙事業がメディア事業の5倍以上となる134億円を叩き出しています。米倉英一社長も「ただ衛星を持っているだけでは不十分だ」と断言し、2019年11月からはAIで船舶を自動検出する「高頻度船舶検出サービス」を開始しました。これは密輸船や海賊の警戒など、洋上の安全保障にも直結する極めて公共性の高い事業です。
さらに同社は、地上20キロメートルの成層圏を飛行体に活用する「成層圏プラットフォーム」事業も2023年度の実現に向けて推進中です。従来の衛星に比べて低コストかつメンテナンスが容易なこのシステムは、次世代通信の基盤として大きな期待を集めています。一方で、苦戦するメディア事業でも、JAXAらと組み2020年夏以降に国際宇宙ステーション(ISS)内に「きぼう宇宙放送局」を開設するなど、宇宙と放送を融合させた唯一無二のエンタメ模索を続けています。
ネットフリックスなどの動画配信勢に押され、放送事業は厳しい冬の時代にあります。しかし、宇宙という「フロンティア」で得た莫大な利益をメディア事業の再建に投じるという、この「二刀流」の経営こそがスカパーの強みでしょう。人手不足や災害対策といった社会課題を宇宙の視点から解決しつつ、最先端のAR・VR映像を届ける。2019年11月28日、私たちは「宇宙企業」へと脱皮を遂げるスカパーの歴史的転換点を目撃しているのです。
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