静岡県の太平洋クラブ御殿場コースにて、2019年11月14日に開幕した「三井住友VISA太平洋マスターズ」は、ゴルフファンの熱い視線を集める中で波乱の幕開けとなりました。今季の賞金王争いを牽引する石川遼選手ですが、初日は7オーバーの「77」と大きく出遅れる結果になっています。前週の大会でシーズン初の予選落ちを喫するという衝撃の展開を経て、彼は今、自らのスイングを根本から見直す大きな転換期に立たされているようです。
今大会の予選ラウンドで石川選手と同組になったのは、現在賞金ランキングのトップを走る今平周吾選手でした。当日の御殿場は気まぐれに吹き荒れる強風が選手たちを翻弄し、実力派の今平選手ですら2ボギーの「72」と耐えるゴルフを強いられる過酷なコンディションだったのです。しかし、ランキング3位から逆転を狙う石川選手を待ち受けていたのは、想定を上回るさらなる苦難の連続でした。
ドライバーショットの試行錯誤と御殿場の罠
石川選手は現在、飛距離と方向性を両立させるためにスイングの「突貫工事」とも言える修正を行っています。前週の試合では、なんと自身の武器であるドライバーをバッグから抜いてプレーするという異例の決断を下しました。これは、目先のスコアよりも長期的なスイングの質を優先した、プロとしての苦渋の選択と言えるでしょう。修正の効果は本人も実感しつつあるものの、実戦の緊張感の中ではまだ不安定さが顔を覗かせています。
11番ホールでボギーが先行すると、続く14番や16番ではティーショットを左右の林に打ち込むシーンが見られました。ショットの軌道を制御する「ティーショット」の乱れは、第2打を木に当てるなどの不運も重なり、前半だけで4オーバーという重い代償を支払うことになったのです。後半に入っても2番での池ポチャや、6番でのショットの曲がりが響き、2つのダブルボギーを叩くなど精彩を欠く展開が続きました。
SNS上では「遼くんの不調が心配」「今は我慢の時」といった温かい声援の一方で、「スイング改造の影響が大きすぎるのでは」という鋭い分析も飛び交っています。しかし、12番ホールで見せた追い風を利用した350ヤードものビッグドライブは、彼の持つ潜在能力の高さと、目指している方向が決して間違いではないことを証明する希望の光となったはずです。豪快な飛距離は、詰めかけたギャラリーの心を一瞬で掴みました。
ホールアウト後の石川選手は「ショットと結果が噛み合っていない」と現状を冷静に分析しています。スコアこそ崩れましたが、その表情に悲壮感はなく「徐々に良くなっている」と前向きな姿勢を貫いているのが印象的です。私個人の見解としても、目先の予選通過に固執せず、将来的な完成度を求めてスイングを改造する彼の勇気は称賛されるべきだと考えます。トッププロが土壇場で自分を変えるのは、並大抵の覚悟ではありません。
現在の彼に必要なのは、何よりも「時間」と自分を信じ抜く力なのでしょう。焦って小手先の修正に走るのではなく、理想とするショットの質を追求し続ける石川選手の挑戦は、まだ始まったばかりです。2019年11月15日の2日目以降、この「突貫工事」がどのような形で見を結ぶのか。苦境の中で己と戦い続けるスタープレーヤーの意地が、御殿場の空に再び輝く瞬間を期待せずにはいられません。
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