私たちの読書スタイルが、今まさに歴史的な転換期を迎えています。2019年11月15日現在の報告によれば、電子コミックの勢いが止まりません。出版科学研究所の調査では、2019年1月1日から2019年6月30日までの電子出版市場は、前年の同じ時期と比べて22%も増加し、1372億円という驚異的な数字を叩き出しました。特に漫画分野の伸びは著しく、28%増の1133億円にまで到達しています。
かつて出版界を震撼させた海賊版サイト「漫画村」の閉鎖は、市場の健全化を促す大きなきっかけとなりました。海賊版とは、作者の許可なく無断でコピーされたコンテンツのことですが、これが排除されたことで、読者が正規のサービスへ戻ってきたのです。SNS上でも「安心して作者を応援できる」「広告で面白い作品に出会えた」といったポジティブな反応が相次ぎ、適正な対価を支払う文化が改めて定着しつつあるのでしょう。
市場全体を見渡すと、紙の書籍と電子版を合わせた総額は前年同期比で1%減の7743億円と、わずかに足踏み状態にあります。しかし、その中で電子コミックが占めるシェアは11%から15%へと確実に拡大しました。これは、単に紙から電子への移行が進んでいるだけでなく、スマートフォンの普及によって「いつでもどこでも漫画を読む」というライフスタイルが一般化した結果だと言えます。
主要プラットフォームの躍進と編集者の視点
配信サービス各社の業績も、この盛り上がりを裏付けています。「めちゃコミック」を運営するインフォコムは、2019年4月1日から2019年9月30日までの電子コミック事業で3割の増収を記録しました。さらに「ebookjapan」を展開するイーブックイニシアティブジャパンに至っては、前年同期比で6割増という驚異的な成長を見せています。広告戦略が功を奏し、新規ユーザーの獲得と一人あたりの利用額アップに成功した形です。
筆者の個人的な見解としては、この流れはクリエイターにとっての「希望の光」だと考えています。電子化によって、過去の名作が絶版の壁を越えて再注目されたり、新進気鋭の作家がSNS経由で発掘されたりする機会が劇的に増えました。ユーザーの購買データに基づいた作品作りが可能になった点も、ヒット作が生まれやすい土壌を育んでいるのではないでしょうか。
もちろん、紙の書籍が持つ独特の質感やコレクション性の価値が消えるわけではありません。しかし、利便性の高い電子コミックが市場を牽引することで、出版業界全体に活気が戻ることは間違いありません。2019年の後半戦に向けて、この成長曲線がどこまで伸びていくのか、期待に胸が膨らみます。私たちは今、漫画文化がテクノロジーによって再定義される瞬間に立ち会っているのです。
コメント