国内ジェネリック医薬品のリーディングカンパニーである日医工が、医療界に新たな風を吹き込もうとしています。2019年11月12日、同社は医師専用のコミュニティサイトを運営するメドピアとの業務提携を電撃発表しました。膨大な医療従事者のネットワークを持つメドピアと手を組むことで、従来のアナログな営業スタイルから脱却し、デジタルデータを駆使した高度なマーケティングを展開する狙いです。
今回の提携で特に注目すべきは、メドピアが提供する「kakari」というアプリの共同展開でしょう。これは「かかりつけ薬局」としての機能を強化するためのシステムで、患者と薬局をチャットでつなぐ画期的な仕組みを備えています。日医工はこのアプリを取引先の薬局へ積極的に紹介し、普及を後押しします。これまで薬を卸すだけだった関係から、ITを活用した経営支援へと踏み出す姿勢は、まさに業界の転換点といえるでしょう。
減益を恐れぬ攻めの投資と新ビジネスモデルの創造
同日に公表された2019年4月から2019年9月期の連結決算では、純利益が前年比35%減の30億円となりました。一見すると厳しい数字に思えますが、売上収益は11%増の915億円と着実に伸ばしています。減益の主な要因は、医薬品を自社生産する「内製化」に向けた先行投資によるものです。目先の利益だけでなく、将来の安定供給と競争力強化を見据えた戦略的な選択であると評価できるでしょう。
日医工の田村友一社長は、後発薬ビジネスが今まさに変革期にあることを強調しています。SNS上では「ついに製薬大手がプラットフォーム戦略に本腰を入れたか」「薬局のデジタル化が一気に進むかもしれない」といった期待の声が寄せられました。単に安価な薬を提供するだけでなく、ITを通じて医師や患者との接点を深め、その声を次の製品開発に活かすという循環こそが、これからの製薬企業に求められる姿なのです。
専門用語として登場する「後発薬(ジェネリック)」とは、先発薬の特許が切れた後に同じ有効成分で作られる安価な薬のことです。国の医療費抑制の切り札として普及が進んでいますが、それゆえに価格競争も激化しています。日医工がアプリ手数料を得るような、医薬品販売以外の収益源を確保しようとする動きは、非常に理にかなった生存戦略です。この提携が、患者の利便性向上と医療現場の効率化を同時に実現することを願って止みません。
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