日本の経済界がいま、大きな岐路に立たされています。2019年11月17日現在の集計によると、上場企業の2019年4月〜9月期決算は、純利益が前年同期と比べて14%も減少するという厳しい結果になりました。2020年3月期の通期予想も7%の減益が見込まれており、リーマンショック以来となる2期連続のマイナス成長という、看過できない事態に直面しているのです。
実体経済の冷え込みとは裏腹に、株式市場には明るい兆しも見え始めています。米中貿易摩擦の緩和への期待や、世界的な金融緩和が追い風となり、日経平均株価などは夏場の底打ちから力強い回復を見せているのです。SNS上でも「業績が悪いのに株価が上がるのは不思議だ」という驚きの声と共に、「今こそ企業の実力が試される局面だ」といった冷静な分析が飛び交っています。
こうした不透明な状況下で浮き彫りになったのは、世界景気の影響をまともに受ける企業と、自ら成長の糧を掴み取る企業との圧倒的な「実力格差」でしょう。例えば電機業界では、ソニーの独走状態が続いています。スマートフォン向けの「半導体画像センサー(光を電気信号に変えて画像を作る、カメラの心臓部となる部品)」が絶好調で、過去最高の営業利益を叩き出す勢いです。
ソニーは利益を上げるだけでなく、さらに1000億円を投じて新工場を建設するという、まさに攻めの姿勢を崩していません。対照的に、中国経済の減速に直面したパナソニックなどの製造業や素材産業は、厳しい減益に苦しんでいます。アジアの競合他社に打ち勝つためには、改めて経営体質を「筋肉質(無駄を削ぎ落とし、効率的に利益を生む構造)」へと鍛え直す必要があるはずです。
5Gや経営統合が鍵を握る!逆風を追い風に変える自己変革の必要性
自動車業界においても、トヨタ自動車の強さが際立っています。世界的に市場が停滞する中で、徹底したコスト削減と将来への投資を両立させる手腕は、他社を大きく引き離していると言えるでしょう。また、計測器メーカーのアンリツのように、次世代通信規格「5G」という新しい技術の波をいち早く捉えた企業も、市場から熱い視線を浴びています。
非製造業に目を向ければ、伊藤忠商事やリクルートのように、生活に密着した分野で着実に稼ぎ出す企業が底力を見せています。さらに、ヤフーを展開するZホールディングスとLINEの経営統合といった、これまでの常識を覆す巨大連合の誕生も大きな注目を集めました。これは、GAFAなどの海外巨大IT企業に対抗するための、なりふり構わぬ生存戦略と言えるかもしれません。
世界に目を向ければ、米マイクロソフトが巨大企業でありながら2ケタ成長を維持し、台湾のTSMCが巨額の設備投資を敢行するなど、成長への歩みはさらに加速しています。私は、日本企業もこの「逆風の時期」にこそ、守りに入るのではなく次の一手を打つべきだと考えます。目先の減益に怯えず、未来の収益源を育てる覚悟こそが、投資家の期待に応える唯一の道ではないでしょうか。
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