新潟大学が今、東南アジアのメコン川流域諸国と手を携え、未来を担う理系・工学系エリートの育成に情熱を注いでいます。2016年度から産声を上げた留学交流プロジェクト「G-DORM」は、単なる語学研修に留まりません。新潟県内企業でのインターンシップを教育課程の柱に据えるという、極めて実践的な試みが展開されているのです。
2019年度、このプロジェクトは大きな転換点を迎えました。新潟とメコン地域の双方から参加する学生数は、過去最多となる100名の大台を突破する見込みです。地域を越えた学びの輪が、かつてない熱量を持って広がり続けています。SNS上でも「地方大学から世界へ繋がるリアルな挑戦だ」と、その先進性を支持する声が目立っています。
国境を越えた「混成チーム」が生み出す化学反応
この「G-DORM」を支えるのは、タイのチュラロンコン大学やベトナムのハノイ工科大学、カンボジア、ラオスの名門校など、各国を代表する知の拠点です。学生たちは共通言語である英語を武器に、多国籍な「混成グループ」を結成します。バックグラウンドの異なる仲間と共に課題へ挑む経験は、何物にも代えがたい財産となるでしょう。
留学の形態は10日間の短期から、1年に及ぶ長期まで多岐にわたります。そのハイライトは、新潟県内やメコン地域の企業での「就業体験(インターンシップ)」です。学生が実際のビジネス現場に身を置き、プロの仕事に触れることで、教室での学びは確かな「実力」へと昇華されます。理論と実践が交差する瞬間が、ここにはあります。
2019年度は、新潟大学から32名が海を渡り、現地からは26名が新潟の地を訪れる予定です。さらに自国での交流プログラムを含めると、総勢107名の若者がこの大きなうねりに参加します。2016年度の開始当初はわずか10名だったことを思えば、わずか数年で10倍以上の規模に成長したそのスピード感には目を見張るものがあります。
企業の変革を促すグローバル人材との出会い
受け入れ側の企業にとっても、このプロジェクトは大きな刺激となっています。これまでに延べ82社もの企業が、未知なる可能性を秘めた学生たちを迎え入れました。ダイニチ工業のように、将来の外国人採用を見据えたシミュレーションとして活用する企業も現れており、地方企業のグローバル化を強力に後押しする存在となっています。
IT企業のアイビーシステムでは、ベトナム人採用に向けた貴重なヒントを現地の学生から得られたといいます。言葉の壁や文化の違いを肌で感じることは、企業が真の多様性を受け入れるための第一歩です。若桑茂社長が語るように、学生の考えを直接知る機会は、経営戦略を練る上でも極めて重要なインテリジェンスとなるはずです。
私は、この取り組みこそが地方創生の理想形であると確信しています。少子高齢化が進む日本において、海外の優秀な若者と地元の産業を繋ぐパイプを作ることは、地域の競争力を維持するために不可欠です。新潟大学が先陣を切って進めるこの架け橋が、2020年度以降もさらに強固なものとなることを願って止みません。
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