日本の教育現場で培われたノウハウが、いよいよ国境を越えて東南アジアへと羽ばたきます。学習塾の「開成教育セミナー」などで知られる成学社が、2020年にベトナムのダナンで幼稚園を開園することを決定しました。SNS上では「日本のきめ細かな教育が海外でどう評価されるか楽しみ」といった期待の声が寄せられており、早くも注目を集めています。
現在、ベトナムでは農村部から都市部への急激な人口流入が続いており、これに伴って「核家族化」が加速しています。核家族化とは、夫婦と未婚の子供だけで構成される家族形態を指し、かつてのように祖父母に育児を頼ることが難しい家庭が増えています。こうした社会背景により、質の高い保育に対するニーズが爆発的に高まっているのです。
日本式メソッドで現地の教育をアップデート
成学社が提供するのは、単に子供を預かるだけの「託児」ではありません。遊びを通じて空間を把握する力を養う算数プログラムや、ネイティブ講師による英語レッスンなど、知的好奇心を刺激する内容が満載です。さらに、運動会や遠足といった日本独自の行事も取り入れる予定で、集団行動や豊かな感性を育む「日本式」の教育スタイルが大きな武器となります。
特筆すべきは、2019年10月に現地法人を設立し、既存の園を買収することでスピーディーな展開を実現した点です。2020年1月からは運営を本格始動し、週1回の日本語授業も実施される予定です。市場の動向を正確に把握できているのは、同社が日本で運営する留学生向け学校のネットワークが現地にあるからこそと言えるでしょう。
気になる月謝は、日本円で1万5000円程度に設定されています。他社が展開する富裕層向けの園が4万円を超えることもある中で、この価格設定は非常に戦略的です。より多くの家庭が手に届く「質の高い教育」を提供することで、中間層の心を掴む狙いがあるのではないでしょうか。まさに、教育の民主化をベトナムで実現しようとする意欲的な試みです。
働く女性を支える新たなインフラへ
ベトナムの経済を支えているのは、パワフルな女性たちです。2019年の世界銀行のデータによれば、15歳以上の女性の就業率は73%に達しており、周辺諸国と比較しても突出しています。共働きが当たり前の社会において、安心して子供を預けられ、かつ将来に役立つ教育を授けてくれる施設は、もはや社会インフラとして欠かせない存在といえます。
成学社は今後、2020年度中に首都ハノイへの進出も計画しており、3年以内にベトナム国内で15カ所の拠点展開を目指しています。さらにはインドネシアやマレーシアへの進出も視野に入れており、少子化が進む日本国内に留まらず、成長著しい東南アジア全体をフィールドに見据えた同社の攻めの姿勢には、編集部としても大きな可能性を感じます。
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