記録的な暖かさが続くこの冬、街のアパレルショップからは悲鳴が上がっています。2019年11月以降、例年にない暖冬傾向が続いている影響で、主役であるはずの冬服の売り上げが大きく落ち込んでいるのです。実際に2019年10月から2019年12月にかけてのアパレル各社の売上高は、前年と比べて1割から2割も減少するという厳しい事態に直面しています。
ネット上でも「今年はコートを着る機会が本当にない」「冬服を買うタイミングを完全に逃した」といったリアルな声が続出しており、消費者の購買意欲の冷え込みが浮き彫りになりました。しかし、今回の苦戦の原因は気候だけではありません。2019年10月1日に実施された消費増税による買い控え、さらには同月に日本を襲った台風19号による臨時休業など、まさに「三重苦」と呼べる過酷な状況がアパレル業界を直撃しているのです。
こうした逆境の中、各ブランドはただ手をこまねいているわけではありません。例えば、紳士服ブランドのダーバン大丸東京店では、薄手のコートや小物を熱心に品定めする仕事帰りのビジネスパーソンの姿が見られました。店舗を統括するマネジャーは、天候に左右されない強みを持つ「オーダースーツ」など、顧客一人ひとりの細かな要望に応える個別化戦略を加速させ、この窮地を脱したいと力強く語ってくれました。
一方で、お正月の風物詩である初売りの現場でも異変が起きています。2020年1月2日、東京の渋谷ヒカリエで行われた年始セールを訪れた男性客からは、「これだけ暖かいとわざわざ高額なコートを買う必要性を感じない」という本音が聞かれました。防寒用の厚手アウターは単価が高く、お店にとっては利益の柱となる重要なアイテムですが、気候の壁に阻まれて販売が伸び悩んでいるのが現状でしょう。
大手セレクトショップのユナイテッドアローズでは、昨シーズンに苦戦したコートを早くも4割引きで投入するなど、大幅なセールによって何とか巻き返しを図ろうと必死の攻防を続けています。それでも、同社の2019年12月における既存店売上高は前年と比べて4パーセント減少しており、事態は極めて深刻と言わざるを得ません。
これからの時代、私たちは「暖冬が当たり前になる世界」を見据えるべきではないでしょうか。ユナイテッドアローズの担当者が語るように、これまでの季節感に頼った服作りから脱却し、気候変動に柔軟に対応できる商品の再構築が急務です。今後は、フリマアプリなどをはじめとする中古市場の動向も意識した、長く愛される価値のある服作りや、レイヤード(重ね着)で温度調節しやすいアイテムの提案など、アパレル業界の構造そのものをアップデートする前向きな変革に期待したいところです。
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