2018年6月18日に発生し、最大震度6弱を観測した大阪府北部地震から、ちょうど1年が経過いたしました。この地震では、関連死を含めて6名の方が犠牲になられ、改めて自然災害の恐ろしさを突きつけられる結果となったのです。そして、この地震による住宅被害は、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良の5府県で5万9千棟を超えましたが、その約99%が「一部損壊」にとどまり、公的な支援を受けられない被災者が多く残されている状況が明らかになってまいりました。
各府県のまとめによると、住宅被害は全壊が21棟、半壊が452棟、そして一部損壊が圧倒的多数の5万8946棟に上ります。大きな自然災害で被災した場合、「被災者生活再建支援法」に基づく公的なサポートが受けられますが、その対象は原則として全壊や大規模半壊の住宅に限定されているのです。このため、屋根や壁、瓦の一部が損傷したといった「一部損壊」の被災者は、その多くが多額の修理費用を自己負担しなければならない現実があるのです。
こうした状況を受け、被災地である自治体独自の支援策を打ち出しました。たとえば、大阪府茨木市では所得制限を設けた上で修理費用を最大で20万円補助する制度を設け、また大阪府高槻市では所得に関係なく最大5万円を補助する制度を創設しています。さらに、大阪府も修理費用を無利子で融資する制度を設けるなど、各方面で努力が見られるでしょう。
しかし、一部損壊が2万2515棟と特に多かった高槻市でさえ、昨年(2018年)9月の台風21号の被害に絡む分も含めて、2019年5月末までの制度利用件数は5902件にとどまっています。また、大阪府の無利子融資の申し込みも5月末時点で663件と非常に少ない状況です。制度の申請には、まず業者からの見積もりが必要になるのですが、府の担当者からは「業者の順番待ちがまだ続いているようだ」との声が聞かれ、業者不足が復旧の大きな障壁となっているようです。
✅復旧を阻む「三重苦」とSNSの声
このように、被災から1年が経った今もなお、多くの住宅で補修が完了していない背景には、前述の「自己負担の重さ」「業者不足」に加え、公的支援の対象から外れてしまう「一部損壊」という壁という、まさに三重苦の構造があるといえるでしょう。特に被災者からは「制度はあっても自己負担が多くて進まない」「業者がなかなか見つからない」といった切実な声がSNSなどで多数見受けられました。たとえば、倒壊を免れた住宅のブロック塀の安全対策が進んでいない状況も報じられ、「通学路沿いの塀が撤去された」といった情報も見られるなど、目に見える形で復旧が進んでいない現状に、社会全体で関心が高まっているようです。
関西大学の越山健治教授(都市防災)は、この状況について「補修に手が回らない社会的弱者が埋もれている可能性がある」と警鐘を鳴らし、支援の範囲を広げる必要性を訴えていらっしゃいます。実際に、一部損壊といえどもその被害額は数十万円に上るケースも少なくなく、低所得者層にとっては生活を大きく圧迫する要因となりかねません。この専門家の指摘は、まさに私たちの社会が抱える格差の問題を浮き彫りにしているといえるでしょう。
「一部損壊」に対する公的支援のあり方は、今後も地震が予想される日本全国にとって、極めて重要なテーマです。現行の法制度では、被災の程度が軽いと判断されても、実態として生活再建に大きな支障をきたす方々が存在します。この問題は、大阪府北部地震という局地的な課題ではなく、国全体で議論し、誰もが安心して暮らせるための防災・復興支援体制を確立すべき時が来ていると考えられます。被災から1年、この教訓を無駄にすることなく、支援の網の目を広げていくことが急務であるに違いないでしょう。
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